空軍長官候補に宇宙のプロで国家偵察局NROのNo2が

米空軍に衝撃の追加速報!!!
1月17日、トランプ大統領は米空軍副長官候補に、元宇宙軍中佐のMatthew Lohmeier氏を指名
Lohmeier氏は現役時の2021年に、自費出版書籍やSNSで、米国防省の多様性や、公平性、包摂プログラムを批判し、上級指揮官の間で保守的な見解が抑圧されていると主張し解任され人物

トランプ氏→「Lohmeier氏は、偉大な国防長官候補のヘグゼス氏と協力し、我が国の軍隊を破壊した破滅的な『Woke』政策を終わらせ、我が国を再び強くするだろう」
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KC-135の元航法士で、その後宇宙通信や諜報偵察分野の文民技術者に
前トランプ政権で現職のNRO 国家偵察局 No2 に就任

1月16日、トランプ次期大統領が国防関連要職ポストで唯一「未定」だった空軍長官候補者に、KC-135空中給油機の航法士から航空宇宙工学博士号を取得して文民技術者に転換し、米空軍やミサイル防衛庁MDAや国家偵察局NROで宇宙関連の通信や偵察やシステム分析や情報収集運用に幅広く携わり、前トランプ政権時の2020年から国家偵察局 NRO(National Reconnaissance Office)のNo2を務める Troy E. Meink 氏(推定59歳)を指名しました

現在のNRO ポストでMeink氏は、宇宙アセットを活用したNROによる各種諜報偵察恒常業務を取り仕切り、米宇宙軍と協力して宇宙からの地上目標の追跡や関連情報の収集、商用衛星画像を活用しての補完的情報の入手決定など、各方面からの情報要求が激増するNRO業務を実質的に「仕切る」重要な役割を担って宇宙軍との接点が多いようですが、まずは初見の Troy E. Meink 氏のご経歴概要を紹介します

●米空軍士官のKC-135搭乗員として(20代後半)
サウスダコタ州立大学で機械工学を学び、ROTC コースで空軍士官の道に進んだ後、1988年から 1993年まで、KC-135 空中給油機の航法士として前線の作戦部隊任務に従事した。その間に湾岸戦争等に従軍し、8回の戦闘任務と 29回の戦闘支援任務を含む100回の出撃を経験。

●文民技術者に転換し航空宇宙技術全般を(30代)
1995-99年にかけ、オハイオ州立大学で航空宇宙工学の修士号や博士号を取得して文民技術者に転換し、空軍研究所で航空機や宇宙船の開発&試験、ミサイル防衛庁で弾道ミサイル試験車両の設計と評価を担当し、航空宇宙関連の広範な範囲でエンジニアとしての経験を積み、この間、専門誌や会議出版物に約20の論文を執筆し、3件の特許を取得、2機の実験機を設計、製造、飛行させたとのこと

●宇宙関連の通信や偵察分野の要職に(30代末から40代)
2002年から米空軍軍事衛星通イノベーションセンター所長、2006年から国防省の通信局長、2008年からNROの信号情報システム取得局長など歴任、2013年からはNROを一時離れ、米空軍宇宙担当副次官として米空軍宇宙事業全体をサポート

●国家偵察局(NRO)の要職を歴任(50代)
その後NROに戻りシステム分析担当国家情報次官、地理空間情報システム担当次官を務めたのち、トランプ前政権下で2020年国家偵察局(NRO)の首席副長官に任命され現在に至る。

Meink 氏の空軍長官指名を米軍事メディアは・・・
●52年ぶりにNRO から空軍長官が誕生する。彼の防衛と宇宙の接際部における経験の深さを考えると、国防省で最も宇宙に詳しい上級指導者となろう。宇宙軍は 2025年に初の予算削減に直面するが、拡大する任務に直面する宇宙軍は多くの資源と人員を必要としており、Meink 氏の知見が予算等確保の後押しになることを宇宙軍は期待するだろう
●ただし、宇宙軍とNRO間で続いている、宇宙アセットによる情報収集、監視、偵察の役割と責任を巡る議論で、NRO 出身の Meink 氏がどのような立場をとるかは未知数であり、関係者の関心事項であろう

●しかしそれ以上に、Meink 氏は承認プロセス中および就任初期に、米空軍の次世代制空機 NGAD、無人機ウイングマンCCA、次期ICBM 計画など、極めて大きな要判断事項に直面し、決断を迫られることになる。脅威が大きく変化する中で、有人戦闘機に投資を続けるか、無人機に大きく舵を切るか、そして「核抑止の3本柱」を維持していくのか・・・等の極めて大きな課題を背負うことになる
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トランプ氏は Meink 氏推薦に際しSNSで、「素晴らしい国防長官候補である Pete Hegseth 氏と協力し、我が空軍が世界で最も効果的で敵を恐れさせる部隊となるよう努め、強さを通じて平和を確保する」と紹介していますが、正直、現在の米空軍の状況やMeink 氏のご経歴からして「最適な人選」とは言い難い気がします。

なぜここまで空軍長官候補者の選定に時間がかかったのか、メディアは触れていません。単純な邪推ですが、余りにも目の前の課題が大きすぎ、引き受けてくれる人がいなかったからではないでしょうか?その説明が一番腑に落ちるような気がします

陸軍長官には退役軍人で次期副大統領であるJ.D.Vance 氏の上級顧問を務めてきたイェール大学ロースクール卒の Daniel P. Driscol氏を、海軍長官にはハーバード大学で経営学修土号を取得し、実業家の有力寄付者でもある John Phelan 氏を指名しています。今後の各級リーダーの動向をぼんやり眺めていきたいと思います

Troy E. Meink の公式経歴
NRO版→https://www.nro.gov/About-NRO/leadership/leadership-meink/
米空軍版→ https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/108402/dr-troy-e-meink/

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