話題の国防長官候補者が上院公聴会で主張展開

民主党議員から非難浴びるも闘志衰えず
過激主張は一部緩和し、長官就任後の「断酒」宣言
国防省の業務慣行の徹底改善で抑止力回復誓う

1月14日、次期トランプ政権の国防長官候補者であるPete Hegseth氏が、長官就任の承認を得るための3時間半に及ぶ上院軍事委員会公聴会に臨み、候補者ノミネート後に自らの人格を否定した「左派メディア」を激しく非難し、国防省を運営する資格がないとの懸念に対しては、過去の過激とされる主張は一部緩和しつつも、自身を「変革の担い手」と称し、国防省のビジネス慣行を徹底的に是正し、近年弱まっている米国の敵国に対する「抑止力」を回復したいと訴えました。

44歳の元州兵Pete Hegseth氏とは?
「国防長官候補ヘグゼス氏紹介」https://holylandtokyo.com/2024/11/14/6539/

そして「全て兵士が担当する兵器に十分な知識と操作能力を持ち、全ての将官が純粋に実績、即応性、功績に基づいてリーダーとして選ばれていることを確認する」と述べ、同氏が著書の中で「Woke」と表現する多様性や包摂性といった文化的な問題に執着する高官を問題視する姿勢も示唆しつつ、イラクとアフガニに従軍した退役軍人として、人事政策の改善と調達への投資増加を通じて「軍隊を再建する」と誓いました

また、ノミネート後、Hegseth氏に関しては、退役軍人支援の非営利団体で働いていたときの不適切な財政管理、過去の職場での公然酩酊事案が取りざたされ、そして2017年の共和党のイベントでの性的暴行の疑いで告発されていますが、薬物乱用を含む容疑を否認もしくは法定外での和解金で訴訟を解決し、国防長官に就任したら「断酒する」と誓約したようです

Hegseth氏指名に反対の民主党議員は
●女性の戦闘任務に関するヘグゼス氏の過去の発言、同性愛兵士に関する「聞かない、言わない」政策の撤廃主張、軍の多様性への取り組みの重要性に対する批判発言を取り上げ、「長官職務を適切に遂行するには、女性に対する見方を変える必要があるが、あなたにそれが可能か疑問だ」と指摘
●委員会筆頭理事のJack Reed議員は、国防省ほどの巨大組織運営経験がないこと、また軍事交戦規則やジュネーブ条約を批判する扇動的な過去の発言を問題視し、「長官には、公正で、中立で、責任ある指導者であると同時に、組織構成員とって信頼できる代弁者であることが必要だが、あなたに資格や能力があるとは思えない」と批判

同委員会の多数派である共和党議員は
●Roger Wicker上院軍事委員長は、候補者への疑惑は主に匿名の情報源から出たものだとして一蹴し、ヘグゼス氏を軍のトップにふさわしい候補として称賛

同候補への立場が不明確な共和党議員の一人は
●イラク戦争退役軍人Joni Ernst上院議員は、資格基準を満たせば女性が戦闘任務に就くことを認めることと、および軍の性的暴行の被害者が適切な支援を受けられることの確保を問いただし、
→質問に対しヘグゼス候補は、両方の問題を支持すると約束し、更に過去に著書等で展開した過激と批判される主張については、立場を和らげる姿勢を明らかにした。

以上は14日付Defense-News記事からのご紹介で、以下では14日付の米空軍協会web記事からご紹介します

●国防費のGDP比率に関し
→上院軍事委員長の質問に対し、予算タカ派の懸念にもかかわらず、相当なレベルの防衛費を維持するよう求め「3%を下回ると…非常に危険だ」と述べた
●核の3本柱開発計画(次期爆撃機B-21、次期ICBM、次期戦略原潜コロンビア級)に関し
→現在の米国防省の「核の3本柱」への姿勢を支持し、「結局のところ、我々の抑止力と生存は、核三本柱に依存している。我々は国家防衛のために核三本柱の近代化に投資しなければならない」

●米空軍の将来構成に関する質問に対しヘグゼス候補は
→将来計画を見直すと誓い、「これは非常に重要な議論であり、私がかなり注目してきたことだ」と証言。「特定のシステムや企業に関心はなく、何が機能して敵を倒すのか、何が我々を安全に保ち、敵を阻止し、敵を不眠症にさせるかを知りたい。それが何であれ、私はそれを望み投資したい。トランプ大統領も同じ考えだ」
→中国の軍備増強に対抗する必要性については、ケンドール氏の長年の見解に同調

●米空軍の将来に関し(同委員会への提出書面で)
→空軍予算の増額を明確に支持していないが、「現空軍計画では将来的に(約30年前と比較し)、戦闘機と爆撃機の数は半分以下、空中給油機は約3分の2、空輸アセットは4分の3に減少するだろう」と記載
→また「過去30年間で、空軍の戦闘機の在庫は縮小し、ほぼ同等の競争相手との紛争で空軍が制空権を獲得する能力を脅かしている」とも表現

●次期制空機NGADに関しては
→「中身を詳しく調べる」との姿勢を示すのみで、有人戦闘機やドローンにどれだけ依存するかの論点には言及せず
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公聴会を行った上院軍事委員会メンバーは、今後数日中にヘグゼス氏の指名について投票する予定で、同委員会が同氏指名を支持すれば、1月20日のトランプ大統領の就任式の直後にヘグゼス氏が国防長官に承認される可能性があるとのことです。

なお候補者が委員会で承認されるかに関し、14日付Defense-News記事は言及せず、14日付の米空軍協会web記事は、過去の過激な主張を見直す姿勢を示したこと等々を受け、「この公聴会は、ヘグゼス氏が上院で承認される可能性を高めた」と評価しています。さて・・どうなるでしょうか・・。なお、空軍長官候補者は未だ決まっていません。

44歳の元州兵Pete Hegseth氏とは?
「国防長官候補ヘグゼス氏紹介」→https://holylandtokyo.com/2024/11/14/6539/
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「国防省の高官候補者」→https://holylandtokyo.com/2024/12/26/10534/

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