米英仏スウェ等のNATO砲兵部隊が演習
敵よりもまず自然との闘いが
靴の中に新聞紙がカギ
演習はフィンランドで行われましたが、同様の環境下で戦う可能性がある北欧3国(ノルウェー、フィンランド、スウェーデン)のほか、北米大陸の米国とカナダにも極圏の極寒下での作戦ノウハウは必須であり、各国とも実地に体感しなければ身に沁みない「ノウハウ」や「教訓」伝授のため、海氷融解による北極圏への関心の高まりの中、多国間演習の緊張感を力に取り組んでいるようで、極地ならではの「エピソード」や「ノウハウ」を記事から列挙してご紹介します
同記事が紹介の訓練項目やノウハウ
●フィンランド軍の軍事教範の一節→「戦闘技術の未熟さよりも、天候への不慣れの方が兵士の命にとって大きな脅威になり得る」
●兵士の靴下やブーツの下に新聞紙を入れて湿気を取ることで、足指の凍傷など寒さによるパフォーマンス低下の予防になる
●積雪のない地吹雪や凍結した路面での重量の重い装甲車運航や、零下30度に達する低温下で榴弾砲を動かし続けるコツの習得
●寒さから武器が詰まりやすく(to Jam)なるため、銃をテント外に置いて凍らせておくことが多い。銃をテント中に持ち込むと、テント内で雪や氷が解けて銃の中に入り込み、屋外で再び完全に凍って詰まりの原因となる。銃は完全にテント外かテント内に置き場所を固定し、移動は避けるべき。
●155mm自走榴弾砲のような大型装備の場合、必要なときにすぐに使用できるよう、大砲のエンジンをいつ事前に始動させるかをその場の環境に応じて体感しておくことが重要
(ちなみに演習参加の某部隊では、持ち込んだ155mm自走砲8両のうち、4両の運転席ヒーターが寒さで故障したとのこと)
●砲兵部隊間の連携のため通信機能の維持は必須だが、極寒の環境では複数の通信手段を確保しておくことが特に重要で、今回の訓練でも複数のデータ送信手段が準備され使用訓練が行われた
●フィンランドだけでなく、北極圏の地域には多数の湖や沼が点在しており、そのような地形での部隊移動には様々なノウハウが必要であり、特に常駐部隊が稀な北極圏では部隊の長距離移動が任務遂行に求められることから、その特性や注意点を把握しておく必要がある
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中東での対テロ対策で蓄積された過去20数年間の「ノウハウ」とは全く異なる、極寒の地での作戦運用ノウハウの「掘り返し」「再評価」「共有」「伝授」がいま求められているということです。
様々な電子回路や電子部品でハイテク化された現代の装備ですが、零下20-30度の世界で連続使用が可能かどうか・・・開発&評価試験段階で仮にクリアーしていても、前線部隊の使い方次第では「想定外」が起こりそうで気になります
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「寒冷地での攻撃ドローン試験ニーズ」→https://holylandtokyo.com/2023/09/05/4956/
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