年頭に当たり、米空軍協会が選んだ注目点 8個
新政権の影響を最も受けるのは米軍の中で空軍でしょう
大改革をけん引も道半ばKendall 長官の後任など
次の空軍長官は誰?
●トランプ氏は、他軍種の長官を含め、国防省のほぼ全ての主要幹部候補者の人選を発表しているが、空軍長官だけは未だ不明だ
●退任する Kendall 空軍長官は、米空軍業務や作戦上の重要事項で近代化の必要性を強調し、徹底的な組織再編を推し進めたが、後任者が如何なるスタンスをとるか全く未知数である。新政権が「多様性:Diversity」に積極的な軍幹部を一斉更迭するとの噂もある中、以下に紹介する重要テーマを含め、全てが宙に浮いている
「退任直前の Kendall 長官」→https://holylandtokyo.com/2024/12/24/10504/
次期制空機NGADや無人僚機 CCAはどうなる?
●米空軍新体制の最も大きな課題は、次期制空機NGAD をどうするかにある。F-22の後継的位置づけで始まったNGAD は、概算コストがあまりに高価で、また CCAドローン等の新技術出現を受け、24年夏から「再検討」に入り、最終的に「次期政権に決定をゆだねる」形となっている
●次期制空機NGADの行く先と表裏をなすのが、CCA (Collaborative Combat Aircraft)無人機で、CCAの必要性や重要性については総論で賛同が得られているが、何をどこまで可能で実施させるかは未知数である
●また戦闘機(特にF-35に対し)に否定的なイーロンマスク氏の影響も注目されている
「NGAD 判断は次期政権に」→https://holylandtokyo.com/2024/12/09/10419/
次期爆撃機 B-21
●2024年初頭にエドワーズ基地で試験飛行に入ったが、米空軍は数枚の写真と短時間のビデオ映像、週2回まで飛行しているという事実以外には、スケジュール等を一切公表しておらず、内外関係者の関心を集めている
●関連事項として、B-21受け入れ用に滑走路を改修するため、サウスダコタ州エルズワース空軍基地から B-1爆撃機が移転したが、改修は「2020年代半ば」に終わると暖味な発表があるのみだ
「NGAD 見直しでB-21機数増か?」→https://holylandtokyo.com/2024/11/15/6466/
大改革の最難関Integrated Capabilities Command 動向
●米空軍大改革の柱で、最も困難と空軍参謀総長も言及しているのが、新規装備品の構想から開発計画管理までを一元的に担う ICC (Integrated Capabilities Command)の創設で、従来この役割を担ってきた戦闘コマンド ACC や輸送コマンドAMC や世界攻撃コマンドGSCから同役割を引きはがして集約する点で、またICC司令官が他メジャーコマンド司令官より下の中将である点で、その行く末を懸念する声も大きい
●2024年9月に、暫定的にICC司令部要員が「リモートワーク形式」で元の所属場所にいながらICC勤務をスタートさせ、AIlvin 参謀総長は「各メジャーコマンドとの橋渡し役として好都合」と言及しているが、米議会への説明と並び、実務が「理想通り」に進むのかに注目が集まっている
「最難関はICC 創設とその運営」→https://holylandtokyo.com/2024/09/03/6230/
部隊の即応体制強化を狙う大演習「REFORPAC」
●作戦遂行部隊の即応体制や能力向上を目指し、ICC 創設で主要作戦コマンドが作戦運用に集中できるよう任務を削減するとともに、大規模でより実戦的な訓練機会の提供を目指したのが対中国を想定した大演習「REFORPAC」 ●発表当時の演習名「Return of Forces to the Pacific」から「Resolute Force Pacific」へ呼称が変更になった「REFORPAC」だが、太平洋の 25か所に300機近くの航空機を投入する等、米軍が近年実施した他の全ての大規模演習を上回る規模が予定されている
「2025 年夏の太平洋大演習」→https://holylandtokyo.com/2024/11/13/6465/
階級「准尉:Warrant Officers」の新設と今後
●兵士の間で最も人気のある2024年の施策が「准尉:Warrant Oficers」の新設。当面はサイバーとIT キャリア分野に限定した准尉の再導入により、高度な専門知識や技能を有する人材の引き留め&確保を狙う
●この制度に基づく、今後の人材採用、現場部隊での評価、他職種への拡大が注目されている
宇宙軍の成長
●前回のトランプ政権時に強引に創設された宇宙軍だが、創設当初の爆発的な成長後、2025年には予算削減案と向き合い、様々な現状の課題や将来方向見据えた組織内外との議論に備える必要がある
●トランプ大統領の復活で、長らくタブー視されてきた「宇宙での攻撃的作戦」任務の扱いなどが注目される
米宇宙軍の関連記事 →https://holylandtokyo.com/?s=%E7%B1%B3%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%BB%8D
米空軍の成長
●次期ICBM 計画の天文学的な予算超過(現時点で既に米空軍年間予算総額の2年分超の11 兆円超過のでたらめぶり)と、他分野の近代化との間の挟み撃ちに苦しんでいる米空軍では、Allvin参謀総長が他軍とのバランスを崩しても「空軍への総支出を増やすべき」と主張しているが、道が開ける見通しはない
●新政権が何を犠牲にするかが焦点となろう
「ずきんなICBM 計画再承認」→https://holylandtokyo.com/2024/07/10/6109/
「F-35 酷評のマスク氏の影響は?」→https://holylandtokyo.com/2024/12/02/10368/
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大幅に言葉や説明を省略して 8つの話題を取り上げていることから、あくまで「長期休暇」と「お正月ボケ」からの回復のための「軽い読み物」としてご理解いただければ幸いです
各テーマに 1個の過去記事を添付(「准尉」関連を除き)していますが、ご興味のある方は、その記事に掲載の関連過去記事等をたどって細部や正確な中身をご確認いただきますようお願いいたします