3台で360度カバーのセンサーLTAMDSを利用し
コスト削減ミサイル(CRI)での迎撃も成功
陸軍の統合戦闘指揮システム(IBCS)を中核として
11月7日付Defense-Newsは、米陸軍が9月から12月にかけ実施している大規模な防御兵器試験の一環として、従来120度範囲だったレーダー捜索範囲を360度にまで拡大する等の能力強化を図った新型防空センサーLTAMDS(Lower-Tier Air and Missile Defense Sensor)と、パトリオットPAC-3 MSEを連接統合した形態で、戦術弾道ミサイル(TBM target)迎撃試験に成功し、PAC-3 MSEと併せてコスト削減ミサイル(CRI:Cost Reduction Interceptor)試験も行ったと報じました
これらシステム開発を担うロッキード社は、以前から実施してきた、360度センサーLTAMDSやPAC-3等を、戦場のあらゆるセンサーをあらゆる射撃装置とリンクする統合戦闘指揮システムIBCS(Northrop Grumman社製:Integrated Battle Command Systems)を利用して運用する試験成果を基礎に今回の試験を実施したとコメントしており、IBCSを中核とする防御態勢整備が成熟してきたことを示唆しています
この成功を受けRandy George米陸軍参謀総長も、更なる実戦的評価と試験のため、新型レーダーLTAMDSを早期に運用部隊に配備することを検討していると記事は併せて報じており、今年夏に3回の試験に成功して部隊配備を開始するドローン、巡航ミサイル、ロケット、大砲、迫撃砲など、前線部隊の多様な経空脅威を撃退できる間接射撃防御システム(IFPC:Indirect Fire Protection Capability)と併せ、本格的紛争に対する能力強化を進めています
更に陸軍は、来年新しいSentinel radar (Version 4)を導入し、その翌年にも新たな能力強化要素の追加を計画しており、上記で紹介したIBCSを中心としたLTAMDSレーダー、PAC-3、CRI、IFPSを含めた全てを、国防省が最優先課題の一つで早期運用開始を目指しているグアム島のミサイル防衛能力強化に投入する予定だと、米陸軍担当のFrank Lozano少将が説明しています
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この分野は様々なセンサーや迎撃兵器や指揮統制システムの略号が飛び交い、実務に関与していないまんぐーすにとっては「睡魔を誘う」分野なのですが、重要な分野ですので略号やシステム全体への理解を助けるため、記事を取り上げました
以下の関連過去記事と併せてご覧いただき、全体像に迫っていただきたいと思います
グアムのミサイル防衛関連
「初期能力試験を今年後半に」→https://holylandtokyo.com/2024/09/11/6260/
「陸軍LTAMDSで海軍SM-6を」→https://holylandtokyo.com/2024/08/08/6151/
「グアムMDを再び語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「整備の状況と困難」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/
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「パトリオット復活と継続生産」→https://holylandtokyo.com/2024/05/01/5796/
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