米空軍はNGADもNGASも必要との姿勢も
かつての構想は変わりつつあると産業界や専門家
9月13日付 DefenseOne 記事は、予算枠や予算優先順位の制約下、また将来の航空優勢概念や同獲得手法の見直しが議論される中、米空軍の次期制空機NGADが計画を一時停止して再検討を迫られているが、NGADの要求後退と共に、将来空中給油機NGAS(Next-Generation Air-Refueling System)つまりステルス給油機構想も勢いを失っていると報じています
同記事は、空軍関係者は依然として、KC-46AやKC-135より生存性の高いステルス次世代 給油機の必要性を主張しているが、次世代制空機 NGAD を見直しに追いやった予算等環境を鑑みれば、次世代給油機への投資の見通しは「心許無い」と表現し、軍需産業界幹部の「望まれる時期に現状の予算環境でNGAS が実現可能だとの話を、誰も聞いたことがない」とのコメントを紹介しています
また記事は、お馴染みハドソン研究所 Bryan Clark 研究員による、「次世代制空機NGADが、強固に防御された敵空域に侵入して航空優勢を確保する構想は衰退し、CCAなど無人機が突破&近接作戦を行う構想に大きく変化しつつあり、これに伴ってステルス給油機の必要性も低下している」、 「戦闘機や給油機が敵地近くで作戦する思想は、もはや現実的でも実現可能でもない。だから NGAD計画は見直しに入り、NGAS もステルス性を優先しない方向に向かう」とのコメントを記事は紹介しています
なお将来給油機計画NGASに関し米空軍報道官は今年7月、NGASの運用構想や要求性能に関する分析を2024 年末までに完了する予定で、その結果を基に2026年度予算案を編成するので、NGAS 関連の様々な質問には同分析後に対応したいと説明しているようです
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戦力投射の量的&質的面でも、教命教助体制的にも、予算面でも、対中国作戦で「戦闘機や給油機が敵地近くで作戦する思想は、もはや現実的でも実現可能でもない」・・・との結論に至りつつあると解釈してよいと思います
でも、予算不足やF-35の航続距離不足や兵器運搬能力不足などなど、なんで今頃になって気が付いたのでしょうか? ウクライナや中東での(無人機等関連の)戦訓? 次期ICBM 計画の巨額費用判明?・・・この辺りの裏話が明らかになるには、もう少し時間が必要かもしれません
ステルス給油機NGASの関連
「C/KC は F/Bと共に開発すべき」→https://holylandtokyo.com/2024/05/15/5776/
「ベンチャー企業に BWB デモ機を」→https://holylandtokyo.com/2023/08/21/4962/
「ステルス給油機検討開始」→https://holylandtokyo.com/2023/02/13/4281/
「長官が積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
次期制空機NGADの現在位置
「NGADは F-35より安価に」→https://holylandtokyo.com/2024/09/19/6351/
「数か月間保留する」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/