Northrop Grumman がNGADへの再挑戦示唆

2023年にNGAD 機種選定からの撤退表明も・・・
同社CEOが投資銀行の大規模投資家イベントで
米空軍による要求性能再検討の結果次第で

Warden.jpg9月12日、Northrop Grumman 社のCEOであるKathy Warden 女史が、米空軍が7月に次期制空機 NGAD 計画を「一時停止Pause」して全体構想や要求性能を数か月かけ「再検討」すると決定したことを受け、「再検討」の結果次第では、2023年に同社が撤退表明した NGAD に再び参戦する可能性ありと発言しました

世界的な投資銀行Morgan Stanley 主催の大規模投資家イベント(年1回のみ開催)での同 CEO発言であったことも各方面の注目を集めており、Northrop Grumman 社(以下NG社) として、米空軍内の NGAD 検討に関する相当な情報収集や社内資源配分に関する議論を踏まえた上での覚悟の発言だと捉えられています

Warden2.jpgNG 社は現在、次期ステルス爆撃機 B-21開発を極めて順調に、かつ各方面から称賛を浴びつつ進めていますが、B-21よりはるかに巨大な次期ICBM 計画の方は初期段階で既にドロ沼で、初期計画予算約 11.5兆円が現時点で既に 21兆円にまで膨らむ81%超過で、その超過額が米空軍年間予算総額の2年分を超える「開いた口がふさがらない」状態に陥っており、おまけに開発スケジュールも「少なくとも3年遅延」と、同社の存続にも影響しそうな惨状です

NGAD33.jpgまた同社が空軍NGAD 撤退後も、継続コミットしている米海軍の次世代艦載戦闘機FA-XX計画も、米海軍の予算状況等から事実上「無期限延期」状態となっており、同CEOが「米海軍の予算削減検討は承知も、FA-XX 計画変更の連絡なし」と気丈に語るも、暗い見通ししかない現状です

そんな中での「NGAD への再度挑戦」を示唆する発言ですから、同社の悲壮感と決意の両方を感じさせる CEO発言だと紹介しているメディアもあります。

NGAD Kendall.jpgNGAD から一度撤退したとはいえ、少なくとも2023年5月末時点ではNGAD計画にNG社もどっぷり関わり、Kendall 空軍長官が「空軍側と候補企業技術者がWright-Patterson 基地に集まり、side-by-side で開発業務を進め、かつデジタル設計の利点を生かし、企業側の状況に空軍関係者が何時でもアクセス可能にして、競争させつつ開発と状況確認を効率的に進めている」と語っていたほどでしたから、生暖かく復活を祈りたいと思います

次世代制空機 NGAD の再検討関連
「再検討の方向性」→https://holylandtokyo.com/2024/09/10/6315/
「数か月間保留する」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGAD の将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/

超巨大次期ICBM システム整備の苦悩
「ずさん過ぎる国防省再承認」→https://holylandtokyo.com/2024/07/10/6109/
「国防次官もあきらめムード」→https://holylandtokyo.com/2024/06/05/5929/
「米空軍だけでは対応不可能」→https://holylandtokyo.com/2024/03/01/5591/
「法抵触の議会通知」→https://holylandtokyo.com/2024/01/29/5478/

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