2025年からの本格評価試験に向け研究開発
「極超音速ミサイルに比し桁違いに安価」
「安価な標的を排除」を目的に開発
8月9日付Defense-News 記事は、米陸軍の Robert Rasch迅速能力開発室長(陸軍中将:Director, Rapid Capabilities and Critical Technologies Office)が、155 mm砲から発射可能な「極超音速砲弾:a hypervelocity projectile」開発に着手し、基礎的な研究や試作を経て2025年から評価試験を行い、2028年度中には作戦運用試験を目指すと明らかにしたと報じています
Rasch 室長は8月8日の Space and Missile Defense Symposiumで記者に、米陸軍は敵攻撃用の極超音速ミサイル開発とは異なり、「桁違いに安価」だが、「非常に高速に飛翔して目標に接近できる」として、極超音速砲弾を「より安価な標的を排除するための潜在的な兵器として」活用すべく開発したい、と狙いを語った模様です。
また同中将は、米陸軍はオクラホマ州 Fort Sil の Fires Center of Excellenceで155mm極超音速砲弾の開発試作を計画しており、砲弾の物理的性質を約3年かけて研究する予定だと明らかにし、「大砲にかかる物理的な圧力はさまざまで、テストを通じて学ばなければならない」と未知への挑戦であることを示唆しています。
更に米陸軍は 155 mm極超音速砲弾に対応する自動装填装置の開発や、センサーと射撃手をつなぐ統合戦闘指揮システムを通じた運用を想定しており、一連の研究開発の一環として行うことを目指しているようです
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同中将は「これは素晴らしい能力だ」、「これを陸軍プラットフォームに導入するのが楽しみだ」と Defense-News 記者に語っていますが、これから2025年開始構想の評価試験などを含む3年かけて基礎を固め、2028年度中には作戦運用試験を目指すとの「先の長いーーい」お話で、陸軍らしいな・・・と思いました。
安価な標的を迎撃するために、極超音速砲弾へのニーズがどれだけあるのかよく理解していませんが、作戦運用試験を予定していた2028年頃になって、ニーズが変化したから「やーめた」となりそうな気がしております
死屍累々の米陸軍プロジェクト
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