3か国戦闘機28機が給油機8機と1800名体制で
アラスカ→豪州→日本→ハワイ→インド
7月8日から8月の印空軍初の多国間空軍演習まで
7月5日付米空軍協会web記事が、ドイツ・フランス・スペイン空軍(次世代戦闘機Future Combat Air System開発でチームを組む3か国。英伊日本のGCAP:Global Combat Air Programとはライバル関係ですが・・・)が7月から8月にかけ、戦闘機28機を含む、総計50機と人員約1800名を伴って開始している、大規模アジア訓練演習ツアー「Pacific Skies 24」について紹介していますので取り上げます。
本件については2023年11月末に構想が発表されましたが、超積極的なドイツ空軍司令官(なんと2018年から継続して同ポストを務める超異例の長期政権)Ingo Gerhartz独空軍中将(記事の写真でご紹介)がリードしてまとめられた構想で、世界中から目を付けられている中国軍の横暴に欧州軍としての姿勢を示す目的をもって計画されたとのことです。
なお同独中将はウクライナ情勢厳しい欧州にあっても、2023年6月に24か国から航空機220機と1万名を集め「欧州における冷戦後最大の航空演習」となった「Air Defender 23」を主導&実現させたことで世界から注目を集めた独軍人です。ちなみに同演習には米空軍から約100機のF-35s, F-16s, F-15s, A-10sが参加しましたが、全てが州空軍からの参加で、州空軍にACE構想を浸透させることに多大な貢献をしたとして米空軍からも称賛されているドイツ軍人です
ちなみに、独空軍は本訓練ツアーに12機のトーネード戦闘爆撃機を参加させるのですが、1980年代から広く欧州の空軍で採用され、1992年の湾岸戦争で大活躍した同機も、ドイツ空軍に残るのみとなっており、2025年から独空軍でも退役開始するようで、これが海外展開の最後の機会となるようです
先ず独仏西からの「Pacific Skies 24」参加機は
●ドイツ→トーネード12機、タイフーン8機、H145Mヘリ4機、A400輸送機4機
●フランス→ラファール4機、A400輸送機3機、A330MRTT空中給油機8機
●スペイン→タイフーン4機、A400輸送機2機
「Pacific Skies 24」のスケジュール概要
●米アラスカで→7月8日から18日に、ドイツ空軍主計画の演習「Arctic Defender」を実施。航空機60機と人員500名で、米軍からはF-22と米海兵隊機が参加し、広大なアラスカ上空演習空域を使用した航空作戦演習を展開
●豪州で→7月12日から8月2日の間に、豪州主導の多国間統合演習「Pitch Black」に参加し、米、シンガポール、伊、印、英国、フィリピンなど総計20か国140機とともに、様々なシナリオ設定で航空戦力活動を訓練
●日本で→7月19から25日の間に、航空自衛隊のF-15やF-2と訓練
●ハワイで→開催中の世界最大の海洋演習RIMPAC後半部分に独タイフーンが参加
●インドで→8月にインド空軍が初めて実施する多国間空軍演習「Tarang Shakti」に参加
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ドイツは、左翼政権が原発廃止など極端な自然エネルギー政策を推し進め、今や電力などエネルギー価格が高騰して産業崩壊状態となっています。併せて極端な移民受け入れ優遇政策で社会秩序も崩壊し、欧州の凋落を象徴する国家となりつつあります。
ドイツの国防政策も、冷戦終了後の極端な「軍縮」&「国防費削減」政策で軍の根幹を崩壊させながら、2014年の露のウクライナ侵略以降、再び手のひら返しで軍事力増強に取り組んでいますが、「覆水盆に返らず」で、一度社会で地位を失った軍隊に人を呼び戻すことは難しく、空虚な軍事増強と揶揄される現状です。そんな苦しいドイツ軍の歴史を経験してきたIngo Gerhartz独空軍中将が、独陸軍に押されて存在感が薄い独空軍の存在をアピールする姿に「胸熱」の「Pacific Skies 24」です
2023年11月に計画発表時の記事
「独仏西の戦闘機が大挙アジア訓練ツアー」→https://holylandtokyo.com/2023/11/29/5307/
ドイツ空軍トップはイケイケ積極派!
「23年6月に独でで冷戦後最大の航空演習」→https://holylandtokyo.com/2023/05/01/4515/