Washington-Post 紙が太平洋軍司令官にインタビュー
「多数の秘密兵器で台湾海峡を地獄絵図に」と
「それは現実的で、調達可能だ」とも語る
6月10日付Washington-Post 紙が、5月3日に就任したばかりの米太平洋軍司令官Samuel J.Paparo Jr 海軍大将へのインタビュー記事を掲載し、同司令官が「中国が台湾に侵攻した場合、米軍が数千の無人機や無人艦を配備し、無人の地獄絵図(Hellscape)を作り出す」と語ったと報じています
米国防省では、2023年8月にHicks 国防副長官が突然「Replicator 計画(Replicator Initiative)」を打ち出し、多量の艦艇やミサイルやマンパワー等で脅威となっている中国軍に対抗し、米国防省は今後2年間に集中して「小型&安価であってもスマートな無人システムを大量に導入する」と明らかにし、
「統合参謀副議長と共に同計画を監督」、「米軍の軍事革新を、損耗覚悟の自立無人システムを大量導入することで促進」、「中国軍に対し、対処の事前計画が困難で、各個撃破がより厄介な対処法で臨む」と基本的考え方を表明していますが、
米国大統領の命令を直接受け、対中国軍事作戦の指揮を執る立場の軍人司令官が、具体的にこのような作戦構想について明らかにするのは極めて異例で、特に中国を刺激しそうな「地獄絵図 (Hellscape)を作り出す」との表現や、米側の弱点に言及したとも言える「1カ月の間、時間を稼ぐ」とまで語ったことに驚きました
有料登録者限定のWP 紙記事の概要を紹介した朝日新聞記事(Yahoo掲載)から内容を紹介すると・
●Paparo 司令官は、中国の艦船が台湾侵攻のために台湾海峡の航行を始めた直後に、米軍の無人兵器を展開するとの作戦構想に言及した
●同大将は「多数の無人秘密装備を用い、台湾海峡を無人の地獄絵図にしたい。1カ月の間、(中国側を)惨めな状況にし、これにより、我々が各種対処のための時間を稼ぐことができる」と述べた。
●同司令官は、「多数の秘密装備」について細部への言及を避けたが、「それは現実的で、調達可能だ」とも語った
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WP紙の6月10日付元記事
→https://www.washingtonpost.com/opinions/2024/06/10/taiwan-china-hellscape-military-plan/
「Replicator 計画」の他にも、米軍内では各軍種が様々な無人兵器構想や開発を進めており、先日も国防省 DIUと空軍が共同でKTV(Enterprise Test Vehicles)との無人兵器関連テストプラットフォーム開発を発表し、その位置づけや狙いがよくわからず、軍事ニュースサイトも公式発表をただ報じて、推測コメントを短く添えるだけの「良くわかりません」状態でした
ただ、5月3日に就任したばかりの Paparo 司令官が、つい口を滑らせて作戦構想やその狙い (米軍が数千の無人機や無人艦を配備し、台湾海峡で中国軍を約1カ月の聞くぎ付けにして。 米側の各種対処のための時間を稼ぐ)を漏らしてしまったとは思えず、「それは現実的で、調達可能だ」とまで述べていることから、中国側を抑止する効果ありと見積もって「手の内を明かした」と考えるべきでしょう
それにしても・・・「多数の無人兵器で約 30日間時間を稼ぐ作戦」は理にかなっているとも言えますし、相当ウォーゲームをやったんだろうな・・・とも思いますが、台湾の人々はどう思うでしょうか?
また、日本への影響は? 更に自衛隊はどのような役割を約30日間期待されるのでしょうか? これまでの防衛力整備の方向が正しかったと言えるでしょうか?(戦闘機とか、こじつけるんでしょうが・・・) 厳しい現実を突きつけられているように思いますが・・・
米国防者の Replicator Initiative など
「DIU と空軍のKTV」 →https://holylandtokyo.com/2024/06/21/5988/
「再びRep構想を説明」→https://holylandtokyo.com/2023/09/08/5016/
「国防副長官がRep構想発表」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/
米議員団「米軍航空機の9割は地上で損壊」の引用元
「CSIS 台湾有事の War Game 結果」→https://holylandtokyo.com/2023/01/11/4135/