初めてF-35を受領する米空軍予備役飛行隊

来年F-35を受領し、30年使用のF-16は仮設敵部隊へ
予備役戦闘機部隊の訓練や作戦運用もご紹介

457th EFS3.jpg8月10日付米空軍協会web記事が、米空軍の予備役戦闘機部隊として2024年に初めてF-35を受領し、30年に渡るF-16運用に幕を閉じるテキサスの米海軍航空基地に籍を置く第301戦闘航空団の第457派遣戦闘飛行隊の様子を取り上げていますので、予備役戦闘機部隊の訓練や作戦運用を垣間見る機会としてご紹介します

第457派遣戦闘飛行隊(457th EFS: 457th Expeditionary Fighter Squadron)は、現在サウジのPrince Sultan Air Baseに派遣されており、8月末に帰国する予定ですが、その後にF-16からF-35への機種転換に本格的に取り組む模様です

457th EFS.jpg同飛行隊がF-35を受領するのが2024年となっていますが、現有F-16を手放す時期(ネリス基地でアグレッサー転換し、フロリダ州Homestead空軍基地で第93予備役戦闘飛行隊に移管される)は不明確ながら、過去の正規空軍飛行隊のF-16~F-35への機種転換の様子から、F-35到着の1年前にF-16を送り出すことになろうと考えられています

同飛行隊長の中佐はまず、現在の中東への展開が如何に過酷で、任務遂行を通じて部隊が逞しくなった様子を振り返り、「対ISISのOperations Inherent Resolveや、ロシアによるMQ-9への妨害が頻発する中での地域安定化警戒飛行作戦Spartan Shieldに備え、一般的な展開準備の他に、ACE(Agile Combat Employment)構想演習や近接航空支援訓練を短期間に精力的にこなし」

457th EFS4.jpg中東展開後は、「1回のフライトが7時間に及ぶ連続飛行の中で、様々な任務を緊張感を維持しつつ遂行する任務」や、「暑さ、強い風、砂嵐等の米本土とは異なる厳しい環境の中で、米本土での訓練フェーズに比べてはるかにテンポの速い、作戦→整備、任務の分析検討→休息→作戦準備→作戦のサイクル」を成し遂げてきた部隊の自信が、F-35受け入れに向けた様々な準備の基礎になろうと胸を張っています

また同飛行隊を有する第301戦闘航空団司令官の大佐は、「F-35はその機体特性からSEADへの専門性が高い機種だが、既に多くの正規空軍部隊に配備され、その優れた性能を多様な任務で発揮しており、F-16の後継機種として大いに期待されている」と語り、予備役部隊として最初のF-35を受け入れに万全を期すと決意を新たにしています
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457th EFS2.jpgF-35導入が進んでも、米空軍のF-16がまだまだ仮説敵部隊(アグレッサー部隊)で活躍すること、海外派遣部隊が展開前にACE構想演習を実施すること、中東派遣の戦闘機部隊が7時間もの長時間フライトを普通に行っている事、F-35の専門分野を問われれば、空軍内ではSEAD機として認識されていることなどを、この記事から学びました

まだまだ暑い夏が続きますが、皆さま、お体をくれぐれも大切に・・・

米空軍の戦闘機構成議論
「戦闘機の近未来体制は」→https://holylandtokyo.com/2021/05/21/1709/
「戦闘機は7機種から4機種へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/18/1496/
次世代制空機NGADの検討状況
「企業選定開始」→https://holylandtokyo.com/2023/05/22/4656/
「欧州型とアジア太平洋型の2タイプ追求」→https://holylandtokyo.com/2023/05/10/4604/
「NGADは1機が数百億円」→https://holylandtokyo.com/2022/05/09/3193/

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