国防省革新推進部署が宇宙輸送企業選定へ

地球と宇宙と宇宙間の3タイプ輸送提案募集
2年後に具体的契約目指す構想
2018年からの実現性検討から1歩踏み出す

Space Delivery.jpg6月30日、米国防省のDIU(Defense Innovation Unit)が、「Novel Responsive Space Delivery」コンセプトを煮詰めるため、地上から宇宙、宇宙から地上、宇宙の軌道間輸送の3タイプの貨物輸送に関する企業提案募集を開始しました

「Novel Responsive Space Delivery」コンセプトは2年後に具体的な事業契約締結を目指し、契約前半では選定された提案の実現可能性をより精査し、具体的な貨物輸送ロケット打ち上げ要領を煮詰め、契約後半では貨物の精密輸送技術の成熟と、救命救助や災害対処宇宙空輸運用を煮詰めることを狙いとしているとのことです

Space Delivery2.jpgこの計画は、2018年頃から段階的に国防省や米軍内で進められてきた検討を1歩進めたもので、2018年から国防省が開始した「運用構想と調達戦略検討」、同時期に米輸送コマンドがSpaceXや Blue Origin等々と共同検討を開始した成果や、

2021年に米空軍研究所が開始した「Rocket Cargo」計画に基づき、2022年にSpaceX社と約150億円で結んだ「(ロケットでの人員貨物のピンポイント輸送も狙う)Starship rocket開発データの入手」契約に基づく検討の成果、更に宇宙軍が2026年までに米本格公式始動を狙う宇宙輸送検討の結果等々を踏まえたものと考えられています

Space Delivery3.jpgちなみに、3つのタイプの宇宙貨物輸送(地上から宇宙、宇宙から地上、宇宙の軌道間輸送の3タイプ)のどのタイプの提案でもOKで、また、DIUが発出した提案要請には、費用対効果の高さや商用ベース展開可能性が高い事、更に宇宙ゴミの最小化の追求も含まれているようです
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Starship SpaceX2.jpgSpaceX社の「Starship」の打ち上げ試験が4月20日に行われ、打ち上げ後にロケットが回転したり、1段目と2段目の切り離しに失敗したりで素人的には「失敗」でしたが、SpaceX的には最大空気抵抗速度を超える目的は達成したとのことで、管制室が対照的に「大喜び状態」の面白い光景が見られました

ロケットによる貨物輸送も、まだ基礎的な技術確認段階でしょうが、この面でもSpaceXとイーロンマスク氏には大いに期待したいと思います

米輸送コマンド司令官が2020年10月に語る
「物量輸送を宇宙経由で世界中に1時間以内で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/23/439/
SpaceXによるウクライナ支援
「国防省がウクライナ提供用にStaralink契約」→https://holylandtokyo.com/2023/06/21/4776/
「露の電子戦に迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/

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