80トンの物量輸送を世界中に宇宙経由で1時間以内で

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SpaceXと米宇宙コマンドが来年にもコンセプト試験へ
Lyons.JPG7日、米輸送コマンドのStephen Lyons司令官が講演で、宇宙空間を経由した「世界中どこへでも1時間以内」の物資輸送に、SpaceXの精力的な取り組みもあって同コマンドが検討を進めており、早ければ来年2021年にも「test the concept」または「conduct a joint proof of principle」をSpaceXと共に行うと述べました

同司令官は具体的に、C-17輸送機が最大搭載可能な80トン級の輸送を宇宙空間経由で想定していると述べ、SpaceXの他に「xArc」との企業名を挙げ、共に予算投入を必要としない協力合意(CRADAs:Cooperative Research and Development Agreements)を今年3月と4月に結んで検討を進めていると説明しています

米輸送コマンド報道官は同司令官の講演後に、早ければ来年にも予定される「test the concept」または「conduct a joint proof of principle」について、検討中であるとして細部に言及しませんでしたが、宇宙を経由すれば、これまでの航空機による空輸には必要だった「領空通過許可」が不要になるなど、なかなか夢のある「世界中どこへでも1時間以内」構想検討ですので、課題と共にご紹介しておきます

7日付C4ISRnet記事によれば
SpaceX starship.jpg7日、Lyons司令官は「National Defense Transpiration Association」での講演で、「とても挑戦的なコンセプトだ」、「宇宙を利用した輸送のproof of principleに、SpaceXと共に取り組んでいるチームの存在にとても興奮している」と述べ
「それが小さな双方の部署による検討であっても、その進捗のスピードは目を見張り、SpaceXは極めて素早くこの分野で前に進んでいる」と語った

米輸送コマンドはSpaceXと「xArc」社との契約に関し、「宇宙を利用した輸送(space-based delivery)について、技術面、法規制面、コスト面から検討している」、「米輸送コマンドは、僻地への兵站支援面や物流業務面で専門知見を提供し、究極的には両企業の月や火星ミッションを目指す努力を支援する」との声明を出し、Win-Winの関係であることをアピールしている
専門家はこの宇宙利用の輸送について、長年提唱されてきたアイディアであると認めるものの、大きな課題も存在すると指摘している

一つは宇宙空間を出入りする際の貨物への「G対策:加速度対策」で、もう一つは米本土からロシアに北極経由では行けるが、南極経由では無理なように、「point to point」では地球上全てをカバーできない限界があり、これを補うには宇宙空間に物資を補完しておく必要があるが、これにはコストがかかる点である

Lyons2.jpgこのように専門家は、「Starshipが point to pointの有効な手段となるには、技術的や経費面での課題が多くあり、法的面でも整理すべき点が残されている」と指摘している
一方でLyons司令官は宇宙利用の利点として、「伝統的に基地使用や上空通過などの外交上の問題が摩擦ポイントとなっており、物資の迅速な輸送の障害となってきた」と指摘し、この点が宇宙利用で解消されると指摘している

この点についてはCSISのTodd Harrison氏も、宇宙条約に沿うならば宇宙軌道上の上空通過に許可は不要だと主張し、「アフガンのような急峻な地形に囲まれた国でもアクセスが容易になる」と述べたが、「大気圏を経由する着陸においては、航空機と同様の着陸許可が必要となろう」としている。「戦いの最中ならば、問題にはならないだろうが」とも付け加えた

宇宙軍No2は「明確なコンセプトは無い」と表現
Saltzman.jpg16日、米空軍協会ミッチェル研究所で講演したChance Saltzman宇宙軍副作戦部長(宇宙軍No2)は、宇宙を活用した物資輸送についての質問に対し、宇宙軍として組織・訓練・装備面でサポートすることはあるだろうが、現時点で明確なヴィジョンはない(I don’t have a clear vision for what that looks like yet)と表現した
更に「物資輸送における最も安価な手法ではない」、「しかし検討されている」などと記者団の質問に答え、ICBMと間違えられる恐れがあるのでは・・・との質問に対しては、「わからない」と対応した
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「米本土からロシアに北極経由では行けるが、南極経由では無理なように、「point to point」では地球上全てをカバーできない限界があり・・」は

SpaceX starship2.jpg「The other is that you’re still limited in where you can go. An ICBM travelling on a ballistic flightpath can go from the U.S. to Russia over the North Pole, but can’t go via the South Pole. If you actually place the payload in orbit it can theoretically go anywhere given enough time, but requires a lot more energy and cost.」の訳ですが、そんなことも知りませんでした

技術面でも、コスト面でもいろいろありそうですが、SpaceXに期待いたしましょう

「SpaceX:失敗場面を集めた映像を明るく発信」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-18

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