米比2+2でマルチロール戦闘機提供が話題に

米軍1.7万名参加のバリカタン演習開始に併せ
比へ続々と装備品提供を今後5-10年で

US-Philip.JPG4月11日、ワシントンDCで米国とフィリピンの外務と国防大臣が一堂に会する「2+2」会合(U.S.-Philippines Ministerial Dialogue)が開催され、会合後の両国防大臣会見で、米から比への今後5-10年を見据えた国防支援ロードマップを議論し、レーダー、無人機、軍用輸送機、沿岸や防空システム等を含むプラットフォームが話題になったと明らかにしました

ただそれよりも軍事メディアが注目したのは、両国防相会見では言及がなかったものの、「2+2」会合結果がまとめられ記者団に配布された「fact sheet」に、「2022年秋に約130億円の軍事援助資金提供で支援を発表した比の中型ヘリ調達推進」に加え、「両国が優先すべき国防能力近代化項目として、フィリピン空軍へのマルチロール戦闘機提供計画について焦点を当てて議論がなされた」と記載されていた点です

US-Philip3.jpgフィリピン空軍は2022年6月から、現有の練習機発展型FA-50軽攻撃機(韓国製)だけでは能力不足だと、第4世代の多用途戦闘機選定を開始しており、当時の比空軍トップが米国製F-16とスウェーデン製JAS-39グリペンから提案を受け検討していると表明していたところでした

フィリピンは中国との関係が微妙な国ですが、2021年には5機の新型C-130J輸送機追加購入を決め、米軍からC-130H型の移管を最近受けています。また2022年2月には32機のUH-60 Black Hawkヘリの導入決定も明らかになっていたところです

US-Philip2.jpg米比の関係は、ドゥテルテ前大統領時の強力な麻薬撲滅対策について、米国政府が「人権問題」を持ち出してギクシャクしましたが、中国の南シナ海での既成事実積み上げや軍事力増強を受け風向きが変わりつつあり、マルコスJr大統領の2022年6月就任以降は、特に米比関係好転が目立っています

今年2月にはオースチン国防長官が訪比し、米軍の比軍基地へのアクセス可能基地を従来の4個から8個に拡大することに合意し、3月には米軍第5世代機として初めてF-22がフィリピンに展開してFA-50と南シナ海上で訓練したところでした

US-Philip Balikatan.jpgそして今回の「2+2」にタイミングを合わせるかのように始まった「Balikatan」演習は、米軍1.7万名の大規模参加で、しかも米海兵隊が対中国用に改編した新部隊MLR(Marine Littoral Regiment)も投入してフィリピン側と連携を深めるとのことで、フィリピン軍も積極的な訓練姿勢を見せていると言われています

なおMLRは、第一列島線上の敵WEZ内に存在して敵情をリアルタイムで味方に通報し、「sea-denialやsea-control」作戦を行い、味方統合戦力部隊の進出を助けるイメージの部隊で、最初の部隊がハワイに3MLR(第3沿岸海兵旅団)として編成され、9月の正式作戦運用開始に向け訓練を積んでいるところです(2個目のMLRは沖縄で第12MLRとして編成予定:23年1月の日米2+2で合意)

フィリピン関連の記事
「5世代機初展開F-22」→https://holylandtokyo.com/2023/03/24/4442/
「第3沿岸海兵旅団の編成」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/
「前政権時の米とのギクシャク」→https://holylandtokyo.com/2021/08/02/2065/
「三菱製レーダーを提供へ」→https://holylandtokyo.com/2020/08/31/536/
沖縄で第12MLR編制に合意
「沖縄海兵隊の主力旅団が縮小改編MLRへ」→https://holylandtokyo.com/2023/01/13/4148/

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