手&首入れ墨、マリファナ陽性緩和に加え
新兵採用数の目標達成困難な見通し受け
4月4日付Military.comは、米軍全体で新兵採用が厳しさを増す中、米空軍が今年の新兵採用目標を約10%程度達成できない状況等を踏まえ、新規採用者の「肥満基準(体脂肪率)」を緩和する方向だと報じました。
米空軍は、今年1月に新規採用者のマリファナ試験(THCテスト)の緩和や、2月にも手や首に入れ墨がある者の入隊を認めるなどの入隊基準緩和策を打ち出してきましたが、採用数確保のため引き続き次々と対策を打ち出しています
米空軍報道官は、「単純な基準緩和ではなく、国防省全体の政策を踏まえての調整だ」と説明し、採用時の「肥満基準(体脂肪率)」緩和もあくまで採用時の基準の話であって、継続的に勤務するためにクリアする必要のある基準に変更はないとコメントしていますが、「入り口」を大きくしたことは事実です
米国社会全体では、肥満や犯罪歴や麻薬使用歴などから、米軍採用対象年齢人口の内、わずか30%程度しか米軍の採用対象にならないとの統計が出ているらしく、空軍だけでなく陸軍海軍海兵隊も似たような困難に直面しているとご理解いただいてよいと思います
4月4日に米空軍担当部署報道官がMilitary.com取材に対し認めた「肥満基準(体脂肪率)」緩和は、男性で従来20%→26%に、女性は28&→36%にするものらしいですが、これにより年間の採用数が50 ~ 100名増加する効果を空軍は期待しているようです
(まんぐーす推定→約40万人規模の米空軍は毎年1万人新規採用が必要だとざっくり見積もられ、この増加数は1%弱程度と推測)
他軍種も、新規採用対象者の「肥満問題」に頭を悩ませており、例えば米陸軍は肥満基準を満たさない潜在採用候補者に「入隊前フィットネスクラス:pre-boot camp physical fitness classes」を提供開始し、米海軍も同様の「physical fitness prep course」提供を最近開始したということです
そのほか米空軍は採用促進策として、上限850万円の奨学金ローン一時肩代わりなどを検討しているようですが、軍隊への入隊希望者減少傾向は世界的な傾向であり、少子化先進国である日本でも「明日は我が身」の問題です
第22代国防長官ロバート・ゲーツ語録100選より
(https://holylandtokyo.com/2022/03/26/2046/)
「米軍と社会の遊離を懸念」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
採用難の一側面
米空軍パイロット不足関連
「コロナ沈静化で米空軍の離職率増加」→https://holylandtokyo.com/2023/01/10/4125/
「コロナ後の操縦者争奪戦に備え」→https://holylandtokyo.com/2021/10/17/2271/
「女性登用増に航空機設計基準変更」→https://holylandtokyo.com/2020/08/26/533/
「米空軍がパイロット身長基準を廃止」→https://holylandtokyo.com/2020/05/27/682/
「ヘリ操縦者養成から固定翼削除試行」→https://holylandtokyo.com/2020/08/07/517/
「Fly-only管理の募集中止」→https://holylandtokyo.com/2020/03/25/789/
「5年連続養成目標数を未達成」→https://holylandtokyo.com/2020/02/27/838/
「採用の身長基準を緩和」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-18