既に豪とトルコと韓が運用中で、UK用が製造中
老朽E-3後継に米空軍が喉から手が出るほど早くほしいと
3月23日付Defene-Newsが、2月末に米空軍がボーイングと2027年初号機納入契約を結び、計26機導入すると明らかにしたE-7戦闘管理指揮統制機について、詳細は非公開としながらも老朽化が進む現有E-3早期警戒管制機との比較で紹介していますので、取り上げます
冒頭でご紹介した3か国が既に運用中で、英空軍用に現在中古のB-737型旅客機をE-7に改造中だということですが、既に市場にE-7に改良できる中古のB-737旅客機は存在せず、Kelly戦闘コマンド司令官やWilsbach米太平洋空軍司令官が「すぐにE-7が欲しい」と言っても、ボーイング社によれば機体製造に2年とE-7システム搭載に2年は最低必要とのことで、2032年までに24機納入が最速計画だということです
レーダーについて
・E-3の円盤状のレーダーは1回転するのに約10秒必要だったが、回転しない板状のE-7レーダー(MESA:multirole electronically scanned array)は電子的に捜索ビームを操作し、特定の目標を継続監視したり、一定範囲の捜索頻度を上げたり柔軟な運用が可能である
・B-737のエンジンが提供する大電力により、E-3に比して多くの新規装備が搭載可能となる
・操縦席にもレーダーやネットワーク経由の空中状況が表示され、パイロットが戦闘状況や脅威の存在を、人を介することなく把握できる
搭乗員の省人化
・運用方法にもよるが、E-3は操縦席にパイロットやエンジニアなど4名が搭乗し、レーダー情報を用いてシステムを運用するオペレーターが13~19名必要だったが、E-7は操縦席に2名(操縦者と副操縦者)と10個のレーダー関連ステーションを使用する人員で運用可能
・E-7は21名が搭乗可能で、2名+10名と予備交代要員9名が搭乗可能な設計になっている
その他
・E-3にも備わっていた機能だが、敵の発する電波情報をキャッチし、位置方向やデータベースとの照合で電波発信源の識別能力を持つ
・レーダー能力や電子戦能力を含む自己防御能力については細部に言及できないとしたが、E-7はがチャフやフレアーを搭載可能
・E-7の機体はB-737-700をベースにしているが、翼は737-800のものを使用して揚力を増し、脚もE-7システム重量に耐えられるように強化する
・E-7オペレーターstationsには、機内や機外との意思疎通を容易にする通信装置が配備され、飛行中の航空機や地上の作戦指揮所と衛星通信を含む多様な手段を選択して使用可能
・E-7はE-3にはない追加装備を備えているが、基本的にE-3オペレーターが容易にE-7操作員として活躍できるような類似性を持たせている
・豪空軍はE-7を「Wedgetail」と呼んでいるが、米空軍がどのような名称にするかは未定
Kelly空軍戦闘コマンド司令官は改めて、米空軍が力を入れて取り組んでいる電磁波分野での能力強化、つまりE-7や電子戦専用機EC-37B Compass Call導入、F-35やF-15EXへの強力な電子戦能力付与など、を勝敗を分ける非常に重要な取り組みだと強調しています
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E-7がとってかわることになるE-3早期警戒管制機は、既に機体年齢が45歳を超えるものがでて維持が難しくなっており、現保有の31機の内15機を今年中に退役させるほど問題化している機体です。E-7の順調な製造&導入を祈ります
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