沖縄海兵隊4000名の転進先グアム基地設置式

日本の防衛副大臣は「沖縄の負担軽減策」と挨拶し
米国防省は「太平洋に分散」と説明
2024年から沖縄からグアムへ転進開始へ
総額1兆円の移転費用の3700億円を日本負担

Camp Blaz4.jpg1月26日、沖縄海兵隊約4000名が「転進」する予定のグアム島米海兵隊基地「Camp Blaz」の設置式典が行われ、海兵隊にとって70年ぶりの新基地開設でもあることから、Berger海兵隊司令官が参加したほか、日本の木村防衛大臣政務官や吉川外務副大臣も式典に列席して挨拶しています

米海兵隊4000名の沖縄からグアムへの「転進」は、2006年に日米間で合意された在日米軍再編計画で大枠が合意され、転進先として2012年にグアムが米側により決定されていたもので、設置式自体は2020年に計画されていましたが、コロナの影響で延期され、2023年開催となったと報じられています。

Camp Blaz2.jpgなおグアム島の米海兵隊拠点は、1899年に初めて設置され、1941年に日本軍によって占領されましたが1944年に海兵隊を中核とした米軍が奪還し、太平洋戦争後に海兵隊Campとして再開し、1992年にいったん閉鎖され現在に至っていたようで、再開にあったての新名称「Camp Blaz」は、グアム原住民チャモロ族出身で初めて将官に昇進したVicente Tomas Garrido Blaz海兵隊准将(退役後に下院議員も務める)にちなんで命名されたとのことです

米国防省副報道官は同基地に約5000名が駐留予定だと説明しましたが、これまでの日米合意から沖縄海兵隊からは約4000名が同基地に転身することになっています。2020年から工事が開始されているようですが、兵舎など基地施設の建設は今も続いており、また日本の各種報道機関は、2024年から兵士の移動が開始されると報じています

Camp Blaz3.JPGまた米側報道発表では、この基地開設や部隊移転に必要な経費約1兆円のうち、約3700億円が日本側負担で実施されることを強調しています

1月11日に開催された「日米2+2」で、在沖縄海兵隊で3200名規模の「第12海兵旅団」を縮小しつつも、対中国作戦により適合した2000名弱規模の「第12海兵沿岸旅団:MLR:Marine littoral regiment」に2025年までに改編で合意した件と関連の動きですが、

Camp Blaz.JPG同時に米海兵隊が歩兵や戦車等の重装備から、対中国を意識した敵艦艇や敵上陸部隊を攻撃する軽快な部隊編成を目指し、対艦ミサイル部隊や防空部隊やISR部隊を中核に据えた部隊編成に改革を進める一環でもあります。

いずれにしても、対中国の真正面の極めて脆弱な沖縄本島駐留米軍を削減し、豪州を含む西太平洋全体での分散運用を追求する「軍事的合理性追求」の米軍と、日本側の未だに「沖縄の負担軽減」との大義名分を持ち出さなければならない立場との奇妙な調和を見せつけられた「Camp Blaz」開設式となりました

米海兵隊の主力海兵旅団改革
「沖縄にMLR設置で日米合意」→https://holylandtokyo.com/2023/01/13/4148/
「ハワイで創設のMLR部隊」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
「米海兵隊のstand-in force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「MLRを日本にも」→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/726/
「Force Design 2030構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

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