24か月間を1サイクルとして管理
20年間の中東での戦力酷使を反省材料に
既に少数戦力部隊からは不満の声も・・・
1月3日付Defense-Newsが「2023年注目の米軍動向」の一つとして、米空軍が本格的に推進しようとしている「戦力管理サイクル」を取り上げています。
この「戦力管理サイクル」は、米空軍の新しい戦力造成管理計画「new force generation plan : AFFORGEN」の一環とされており、部隊の運用を6か月間単位の4つのステップからなるサイクルで回し、各部隊の「燃え尽き現象」を防止し、「新人の養成やベテランの技量維持」を計画的に行って米空軍全体の能力を適切に維持発展させていくことを狙いとしています
米空軍の苦い経験として、約20年間継続した中東でのテロとの戦いで、中東域への長期に及ぶ連続した部隊派遣により、兵士の「燃え尽き現象」「特定任務の反復による部隊能力維持困難」「兵士の家庭崩壊」などなどの問題が深刻化し、パイロットをはじめとして離職者が激増し、同時に対中国等の本格紛争への転換が困難に直面している現実が背景にあります
6か月間単位の4つのステップサイクルとは
●前線派遣後のアセット修理などリセット期間
(resetting after a deployment)
●基礎訓練期間
(basic training)
●応用訓練期間
(advanced training)
●即応態勢期間
(mission availability)
ただ、特殊任務を持つ少数部隊や、米空軍として保有アセット数が少ない部隊はこのサイクルを守ることが難しく、既に当該部隊の兵士がSNS上で「リセット期間のはずなのに、大量の任務に忙殺されている」等の不満をぶちまける事態となっており、完全にこの方式を適用することは容易ではなさそうです
米空軍は同時に、本格紛争における被害状況下の運用を想定し、戦力を分散して運用するACE(agile combat employment)構想を推進し、その重要なピースとして少ない兵士で戦力運用を継続するための「兵士の多能力化:multi-capable airmen」に着手し、基礎訓練期間(basic training)や応用訓練期間(advanced training)の改革にも取り組んでいるところです
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2023年には、米空軍の「new force generation plan : AFFORGEN」に関連する、取り組みや問題点を指摘する報道が増えそうですのでご紹介しておきます。
それから・・・、2022年11月に、従来は戦闘機パイロットのみが就いていた「空軍司令部作戦部長」ポストに、特殊作戦ヘリMH-53Jと統合部隊も含め特殊作戦部隊一筋の中将が推挙されましたが、背景には「AFFORGEN」を軌道に乗せたいBrown空軍参謀総長の意向が働いたとも言われています
戦力管理ローテーションのための人事配置との噂です・・・
「仰天人事:空軍作戦部長に特殊作戦一筋の男が」
→https://holylandtokyo.com/2022/11/18/3965/