ハワイの8つの島に分散&機動展開を想定
地域パートナー国も参加して6000名規模で
これまで太平洋地域で大規模陸軍演習がほぼなく
10月28日付Defense-Newsが、米太平洋陸軍がハワイの8つの島を使った演習JPMRC(Joint Pacific Multinational Readiness Center)を10月末から11月9日の間で実施し、フィリピン、インドネシア、タイ陸軍や米海空海兵隊も交え、総勢約6000名規模で対中国作戦の訓練を行っていると報じています
従来米陸軍は多くの場合、米本土の広大な演習場を用いて大規模訓練を行ってきたようですが、対中国を想定した環境設定には米本土の演習場は不向きであることから、ハワイの島々を活用し、演習部隊が対中国で分散して協力しながら作戦遂行するイメージを、シミュレーション機材も使用したバーチャル環境も含めた設定で具現化しているとのことです
演習部隊の主力は第25歩兵師団の第2旅団ですが、前述東南アジア3か国からも中隊レベル規模の部隊も参加し、試験的に各種商用通信機器なども使用して8つの島に分散した作戦運用に取り組み、「水上ボート:watercraft」など西太平洋を想定した機材も使用して現実味を持たせる企画となっているようです
中国軍を演じる第196歩兵旅団の2個大隊も、小型ドローンや通信妨害装置など中国軍部隊を想定した活動で、作戦運用面だけでなく兵站ロジ面でも演習部隊にストレスを強いる行動をとり、海を隔てながらも協力した作戦行動を目指す演習部隊の企図を破砕すべく練った対抗行動を行っているようです
米太平洋陸軍は、同様の演習設定JPMRCを今年3月にアラスカでも行い、寒冷地での作戦行動に特化した訓練したようで、Charles Flynn太平洋陸軍司令官は演習開始に当たり10月27日記者団に、このような形式の演習をハワイとアラスカと他所で毎年1回は実施し、米本土の演習場への移動負担を無くして地域の同盟国軍が参加を容易にしつつ、米本土では設定できない実践的な環境下で効果的な演習を行っていくと説明しています
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整理すると、太平洋陸軍が広大な演習場を確保できない地理的環境を克服し、バーチャル環境やハワイの島々での分散運用をも用した米陸軍数十年ぶりの新たな「combat training center」設定演習を、対中国を意識したJPMRC(Joint Pacific Multinational Readiness Center)として立ち上げ、地域同盟国パートナー国を交えて演習を開始しているとのニュースです
対中国で米陸軍の話題としては、射程1000マイルの大砲開発を断念したとか、極超音速兵器の受け入れ部隊を立ち上げたとか、遠方攻撃部隊の話題ばかりでしたが、「Boots on the Ground」部隊の中核部隊も対中国に動き始めているとの話題をお伝えしました。
それでも実際、米陸軍は対中国で何を期待されているんでしょうか???
米陸軍の最近の話題
「機動性&生存性の高い前線指揮所を」→https://holylandtokyo.com/2022/08/01/3519/
「ウクライナの教訓」→https://holylandtokyo.com/2022/06/01/3245/
「射程1000nm巨砲断念」→https://holylandtokyo.com/2022/05/30/3281/
「Project Convergence5つの教訓」→https://holylandtokyo.com/2021/12/21/2514/
「東京の郊外より2」内の米陸軍関連の記事
→https://holylandtokyo.com/?s=%E7%B1%B3%E9%99%B8%E8%BB%8D