初飛行は2023年になると米空軍調達担当次官が
1988年11月のB-2初披露以来の新型爆撃機お披露目へ
9月20日、米空軍省のAndrew Hunter調達担当次官が記者団に対し、細部は検討中だがB-21次期爆撃機の初披露を今年12月の第1週に行うと明らかにし、初飛行については2023年予定と語りました。
米空軍発表を受け、開発製造を担当するNorthrop Grumman社(B-2爆撃機も担当)は声明で初飛行時期について、現在実施中の地上テストの結果次第だと述べるにとどめていますが、B-2爆撃機のケースでは初披露が1988年11月で、初飛行は翌年1989年7月だったと記録されています。また同社声明で、現在6機のB-21爆撃機が加州Palmdaleの工場で製造中だとも説明しています
同社5月のプレスリリースでは、B-21の一番機は振動試験などの機体構造強度を確認する一連の第1段階試験を終了し、エンジン試験、サブシステム試験、ステルス塗装の確認を今後行うと明らかにしていたところです
更に加州Palmdale工場で各種速度で地上滑走テストを行った後、同工場から同じ加州内の各種新装備品テストのメッカEdwards空軍基地に「飛行移動」し、正式な初飛行試験はEdwards空軍基地離陸で行われる予定だと既に明らかにされています
B-21の最初の配備基地は、現在B-1B爆撃機の母基地であるサウスダコタ州Ellsworth空軍基地で、その後ミズーリ州のWhiteman空軍基地(B-2配備中)とテキサス州のDyess空軍基地(B-1B配備中)に順次配備される予定だそうです
導入機数については、機種選定時には100機程度と見積もり前提が設定されていましたが、その後米空軍内からは、「最低でも100機」、「170機は必要だ」「最低でも170機だ」等々と年々要求機数が膨らんでいる状況です。
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B-21爆撃機開発は、他の装備品開発と比較して順調に推移しており、2021年6月、当時の爆撃機部隊GSC司令官が「なぜ遅れないのか」と報道陣から問われ、「要求性能の変更を拒否しているからだ」、「必要なことに焦点を当て、ゴールすることに注力している」と答えていたことが思い出されます
2019年7月末に時の空軍副参謀総長が「開発順調なB-21爆撃機の初飛行は、今日から863日後の2021年12月3日予定だ」と豪語したこともありましたが、その後2021年前半には「機体を初披露後、2022年の中頃に初飛行予定」との話になり、更に今年5月20日に米空軍報道官が一切の理由説明なく「B-21爆撃機初飛行の予定は来年2023年となる」と明らかにし、様々な噂が飛び交ったところです
それでも2022年4月末には開発製造企業Northrop Grumman社CEOが、「空軍から(優秀な開発ぶりが評価され)報奨金約80億円を授与されることになった」と自慢していたくらいに安定した道のりを歩んできたB-21ですので、「12月第1週」のお披露目に期待したいと思います
なお、価格については、1機550億円以下が機種選定時の設定でしたが、製造企業が「報奨金」を授与されるくらいですから、物価上昇分の範囲で収まっているのだと推定します
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