米国防省が胴体と翼一体型BWBの輸送機等の技術情報収集

BWB(blended wing body)機の技術成熟度を見極めるため
空軍の輸送機と給油機、更に民航機への応用可能性を問う
少なくとも30%の空力特性効率化の提案を要望

blended wing.jpg7月21日付米空軍協会web記事は、米国防省の革新推進チームDIU(Defense Innovation Unit)と米空軍が企業に対し、BWB(blended wing body)型航空機技術の輸送機や空中給油機への応用可能性についての提案を8月2日までに求めており、同技術の民間航空機への応用によるコスト削減可能性にも関心を持っていると紹介しています

BWB(blended wing body)型航空機とは、翼と胴体が一体となった形状の航空機で、一般に内部搭載スペースが大きく、その形状から空力特性が良く燃料消費率が低く抑えられ、また形状から電波反射率が低くステルス性に優れていると考えられている機体です

X-48 boeing.jpg例えば、ボーイング社は2007年にX-48とのプロジェクト名でBWB形状の小型モデル機の飛行試験を行い、ロッキード社も何年にもわたりBWB形状期の輸送機や空中給油機への応用について研究を行っていると知られています

今回の企業側への情報要求に関し、米空軍は(KC-46A空中給油機の次のつなぎ給油機)KC-Yとの関連は否定していますが、KC-Yの次のステルス機の可能性も含め検討されているKC-Zとの関係については言及を避けています

blended wing5.jpgまた米空軍は現在、現在の主力輸送機であるC-17の将来について、C-17の延命策を追求するか、全く新しい輸送機を開発すべきかについて検討を開始しており、将来輸送機検討にも影響を与えるBWB情報収集だと見られているようです

情報要求書で国防省DIUは、政府機関が消費する全燃料の77%を国防省が消費しており、その大部分が航空機燃料であるが、数十年に及ぶBWB研究で燃料消費率の大幅な向上可能性が高まり、同形状機体の大幅航続距離延伸や燃料消費量削減が期待できるようになったと背景を述べ、「projected 2030」エンジン開発と融合すれば、少なくとも6割以上の燃費改善が期待できるとまで述べているようです

blended wing4.jpg具体的な情報要求事項としてDIUと米空軍は、機体形状、機体とサブシステムの想定パフォーマンスデータ、同機体の開発リスクと関連技術の成熟程度、機体実現までの開発設計等の計画、ライフサイクルコスト、ソフト設計計画などなどを要請しているようです

また同時にDIUは、民航機へのBWB技術の応用可能性についても情報提供を依頼しており、民間市場への応用可能性、市場戦略、狙いとする機体顧客、市場拡大の潜在性などを問いかけることで、BWB形状機体開発の国防省負担を軽減できる可能性を確認しようとしている模様です
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BWB(blended wing body)の利&不利点をググってみると

●利点は・・・
空気力学的効率の向上(効力の低減と揚力の増加)
騒音低減(突起物や表面積を減らし騒音低下)
積載物配置の自由度向上(従来型より内部空間が大きく、多様な形状の荷物受入れ可)
構造重量低減(機体全体が翼で、機体全体に揚力発生で強度確保用の重量削減可)

●欠点としては・・・
超音速飛行が難しい
積載物への負担増(機体横転時の左右翼端の貨物への負担台)
胴体構造の耐圧性減少(円形胴体に比し、耐圧性が低い)
旅客機にした場合は窓側席減少

様々な最新機体素材の開発等により、色々なアイディアが実現されれば面白いと思います。今後に期待です

BWB形状機体の研究
「米空軍が飛行の効率性改善研究」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2013-08-07-1
「BWBは超音速飛行に不向き」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-07-17-1

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