遼寧省葫芦島市の造船所の衛星写真より
米国防省2021年「中国の軍事力」が記載した新型?
垂直発射管VLS18基と新型ポンプジェット推進を装備か?
5月16日付Defense-Newsが、民間会社Planet Labsによって5月3日に撮影された衛星写真を取り上げ、米国防省が可能性を予言していたType 093 Shang級の新たなタイプ「Type 093B」誘導ミサイル搭載型原潜ではないかと紹介しています
衛星画像は遼寧省葫芦島市の造船所のドライデッキで撮影されたもので、最初は4月29日に撮影された別の衛星写真で、地理空間情報インテリジェンス会社のAllSourceAnalysisが見つけたようです
5月3日や4月29日撮影の写真とは別に、中国のSNS上に5月上旬、撮影場所不明の6本のミサイル管×3列の18個VLSセルを備えた潜水艦映像が流布され、新型のType 093 Shang級ではないかとネット上で噂されていたタイミングでもありました
米国防省は「中国の軍事力2021」で、中国が「093B誘導ミサイル原子力潜水艦」を建造し始めていると評価していましたが、5月3日の写真には潜水艦司令塔のすぐ後ろにVLSらしき緑色の部分があり、幕がかけられた推進システムらしき様子がうかがえ、海軍専門家は「潜水艦発射ミサイル用のVLS垂直発射システムセルの列と、ポンプジェット推進装置と高い確率で推測できる」と写真を評価しています
またシンガポールの専門家は、中国が潜水艦のポンプジェット推進の研究を行っていることを、過去の科学論文を基にDefense-Newsに説明し、艦対地攻撃と対艦任務のために巡航ミサイルを発射可能な原子力潜水艦を保有することは、中国の長距離攻撃能力追求に一致し、グアム島やハワイ島など米軍の重要拠点や施設攻撃を狙ったものであろうと語ったようです
5月3日の写真からは、潜水艦がType 093 Shang級潜水艦(排水量6100トン:全長約110m)とほぼ同じ大きさであり、この点からもType 093 Shang級シリーズの改良型である可能性が高いと記事は推測しています
2006年に最初のA型が就航しているType 093 Shang級原潜は、現時点で6種類が確認されていますが、前述の米国防省「中国の軍事力2021」レポートでは「Type 093B」と表現しています
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対中国軍事力について、西側が有利な数少ない分野は「潜水艦戦」だと以前の記事でご紹介し、米海軍がグアム島配備の潜水艦を2隻から5隻に増強したことを最近記事にしたところですが、中国も黙っているはずがありません。
仮に取り上げた潜水艦が巡航ミサイル搭載の新型Type 093 Shang級潜水艦だとして、どれくらいのペースで、何隻ぐらい中国は導入する予定なのでしょうか。
グアム島やハワイ米軍基地を攻撃する以前に、日本の米軍基地や自衛隊の基地が、潜水艦搭載巡航ミサイルの一番の標的になりうることを念頭に、ウォッチしていく必要がありましょう
対中国軍事力で、西側が有利な数少ない分野は「潜水艦戦」
「グアム島潜水艦増強:2→5隻へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/26/3166/
「戦略原潜設計チームを攻撃原潜にも投入へ」→https://holylandtokyo.com/2021/11/04/2333/
「極超音速兵器:バージニア級へは2028年以降」→https://holylandtokyo.com/2021/11/26/2450/