米海軍潜水艦への極超音速兵器は2028年

当初はオハイオ級原潜に2025年、Virginia級に2028年計画も
予算不足でオハイオ級GN原潜への搭載を断念

hypersonic subm4.jpg11月18日、米海軍戦略システム計画部長Johnny Wolfe海軍中将が講演で、2025年予定だったオハイオ級誘導ミサイル原潜(戦略原潜を巡航ミサイル原潜に改修)への極超音速兵器搭載について、試験機材導入予算不足のため断念し、ヴァージニア級攻撃原潜への2028年搭載まで潜水艦への搭載は遅れると明らかにしました

Wolfe海軍中将は講演で、米陸軍と海軍が強力なタッグを組み、初速ゼロから発射する極超音速兵器開発で最近3回連続試験成功の成果を上げ、軍需産業基盤の育成でも施策が進んでいる等々と強調しましたが、米軍全体にとっても優先度の高い潜水艦への極著音速兵器搭載遅延は、苦しい説明とならざるを得ません

hypersonic subm2.jpg米海軍の当初計画では、米陸軍とともに極超音速ミサイル開発に全力を注ぎつつ、並行して潜水艦からの極超音速ミサイル「cold launch」発射技術(潜水艦から空気圧射出後にロケットに点火)の開発に海軍として取り組み、オハイオ級GN原潜に2025年、その後Virginia級に2028年搭載予定でした

しかし、オハイオ級誘導ミサイル原潜の退役時期が迫っていることもあり、米海軍が総合的に判断し、搭載テストに必要な「underwater launch test facility」予算確保を断念したとのことです
これにより米潜水艦への極超音速兵器の搭載はVirginia級攻撃原潜への搭載まで待つこととなり、具体的には、同級潜水艦Block V用の「Virginia Payload Module」に同兵器搭載可能タイプを準備し、2026年に最初のモジュール提供を受けて試験を開始し、2028年運用開始を目指すようです

18日付Defense-News記事によれば
hypersonic subm6.jpg●Wolfe海軍中将は米海軍潜水艦協会の総会で講演し、「米陸軍と協力して進めている極超音速兵器開発は、米陸軍が2023年に最初の地上発射部隊を立ち上げ、米海軍は2025年にZumwalt級駆逐艦の1隻目に搭載する」、「ただ潜水艦については、オハイオ級ではなく、ヴァージニア級に2028年に搭載するのが最初になる。ただ2028年との時期については前倒しできないか検討している」と述べた
●オハイオ級への搭載断念については、潜水艦にこの規模の新兵器を搭載するには「underwater launch test facility」で事前確認するのが不可欠であるが、オハイオ級SSGNの退役時期に鑑み、米海軍として同test facility調達予算確保は困難との結論に至ったと説明した

hypersonic subm7.jpg●また同中将は、結果として、潜水艦より水上艦艇への搭載が先になるが、これは水上艦艇への搭載が潜水艦への搭載より技術的ハードルが低い、つまり陸軍の地上発射装置と似た部分が多いと考えたからだと説明した。またZumwalt級艦艇への搭載経験をバージニア級搭載に生かしたいためだとも述べた
●一方で同中将は、陸軍と海軍の開発協力体制は強固で成果を生んでいると強調し、最近3回の試験に連続成功している点や、米海軍が潜水艦用に進める「cold launch」テストにも成功したこと、2022年にはハワイ周辺の射爆場で一連の性能や安全試験を計画しており、準備が着実に進んでいるとも力説した

●更に、新たに立ち上げる必要がある極超音速兵器の産業基盤育成について、現在国防省のSandia研究所のみが保有するミサイル製造技術を、選定した企業Dynetics社員を研究所に派遣して学ばせ、アラバマ工場立ち上げにも助言していると説明した
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hypersonic subm3.jpgロシアは既に、潜水艦発射の極超音速ミサイルの発射試験を行っています

しっかりやっており成果も出ているし、協力体制もばっちりだ。予算の関連で潜水艦配備は遅れるが、前倒しも検討中であり、空いた時間は技術的成熟に活用して最先端兵器開発に全力対応中だと・・・と熱く語る様子は感じられるのですが、必死さを感じるほど不安感が深まるのはまんぐーすだけでしょうか?

米海軍の汚名挽回にはまだまだ時間がかかりそうです

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