まずC-17輸送機で1月から12月の間
目標はわずか3%削減ですが、とりあえず
燃料空中投棄の戦闘機にまで広げられるか?
2月2日付米空軍協会web記事が、米空軍省次官補が中心となって2022年1月から開始した、航空機の燃料消費削減に関する取り組み「MEEP:Mission Execution Excellence Program」を紹介しています
まずは空軍最大の燃料消費アセットであるC-17輸送機を対象に、同機が所属するCharleston空軍基地とTravis空軍基地で1月から12月の間に実施し、3%の燃料消費量削減を目指すもので、その後、他基地や他機種への拡大を考えているようです
具体的な取り組みは、以下の示すような極めて地道なエンジン稼働時間の削減や効率的な飛行ルートの設定などですが、「鍵となる6つの効率化テクニック」と称して米空軍省担当部署は売り出そうとしています。
・ 飛行計画段階からの厳密なプランニングで、搭載燃料削減
・ 地上移動段階での稼働エンジン数の安全最低限への削減
・ 地上電源ユニット等を最大限活用し、航空機APUの使用極限
・ エンジン始動から離陸までの時間極限
・ 降下の際は、最小エンジン出力で低ドラッグで「continuous descent」
・ 最適な巡航高度での飛行
またMEEPプロジェクトでは、今後の更なる燃料消費量削減に向けた検討の資とするためのデータ収集や、パイロットや整備員、運航計画スタッフ等に対する「効率的燃料消費」に関する教育も計画しているということです
米空軍省のRoberto I. Guerrero担当次官補は、この「energy intensity」を高める取り組みを、「複数の民間航空輸送事業者」とのミーティングを重ねて決定したと説明し、C-17を対象とした2022年の取り組みで約90億円の削減が見込めると試算しているようです
とても米国らしいのが、本プロジェクト推進のインセンティブとして、燃料消費量削減量に応じ、「当該航空団Wingの優先プロジェクトに資金を提供する」との仕組みを構築すると同次官補が語っている点です
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作戦目的達成最優先&安全最優先で育ってきた現場部隊からは、おそらく「総スカン」だったと思いますし、民間航空会社から学んだなどと説明すれば、「戦場は違う」と、Guerrero担当次官補は猛反発を食らったものと邪推いたします
それでもバイデン政権下で、国家機関最大の燃料消費機関の国防省ですから、妥協の策として細々と開始したものと思います。
基地に戻る際、平気で余った燃料を空中投棄する戦闘機部隊にも触手を伸ばせたら、大したものですが・・・
排出ゼロや気候変動への取組み関連
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