異例:米軍人NO2ポスト後任候補が未定

現職Hyten統合参謀副議長の退役が11月21日
現議長退役までに後任の議会承認が間に合わないのは確実
過去40年間で前例のない後任候補未定の理由は不明
新兵器開発「米国が9回試験に対し、中国は数百回挑戦」

Hyten.jpg米軍事メディアが相次いで、11月21日に退役が決まっている米軍人NO2のHyten統合参謀本部副議長の後任候補が未だバイデン政権から示されない異例の状態にあり、今後直ちに後任候補が推薦されても、上院での承認審議に必要な期間を考えれば、国防省内の重要な予算や将来計画等々検討の「要」である「副議長」ポストに空白が生じかねないと、関係者の危機感を伝えています

確かに、現在のHyten副議長就任の際も、上院での承認プロセスの途中でHyten大将のセクハラ疑惑が持ち上がり、前任者退役後に3か月ほど空席期間が生じた過去がありますが、当時も後任候補は適時に推挙され、申し送りなども水面下で進められた実態があることから、なぜ候補者の推挙が遅れているのか、各所から「?」の声が上がっているようです

Milley.jpg各種メディアも、過去40年間でもなかった後任推挙の遅れついて確たる理由をつかめないでいるようですが、上院のベテラン議員は「国防省での人選が遅れているとは考えにくく、ホワイトハウスの中の誰かがネックとなって推挙が停滞しているのでは」と推測しています

ガッチリとした官僚機構である統合参謀本部ですから、副議長の脇を固める中将クラスがフォローし、Milley議長が「空白」の間は副議長の職責を担う心づもりを固めているようですが、予算配分や各軍種の開発計画や将来構想について細かく議長が差配する余裕はなく、中将レベルが各軍種トップやメジャーコマンド司令官と交渉できるはずもなく、懸念される状況です

10月21日付Military.com記事によれば
Grady.jpg●政治情報サイトPoliticoは、副議長の後任候補には米海軍艦隊司令官Christopher Grady大将が有力で、米戦略コマンド司令官のCharles Richard海軍大将の可能性もある、と報じている。ただ(21日の時点で)数日以内に候補が推挙されても、上院の承認は11月21日までに間に合わないだろうと見ている
●米国防工業会会長(元米空軍戦闘コマンド司令官)のHerbert Carlisle退役大将は、「副議長に空白が生じることは、国防省業務遂行に多大な害悪をもたらす可能性がある」と予算検討の山場に当たる時期の重要性を懸念している

Carlisle.jpg●例えば副議長は、Hicks国防副長官と共に「Defense Management Council」の共同議長として2023年度予算の骨子決定の山場を担っており、また「Joint Requirements Oversight Council」のトップとして、各軍種の様々な装備品要求値の精査や軍種間の調整を仕切る立場にある
●また、同Councilは、宇宙軍の立ち上げ&充実、サイバー能力の強化&改善、中露対処を念頭に置いた諸計画の継続見直しの推進役でもあり、Carlisle会長は時間的余裕のない引継ぎを懸念している

10月28日付Defense-News記事によれば
Kirby.jpg●28日、国防省のKirby報道官は「副議長職は重要なポストであり、空席は望ましいことではない」、「ただ法律の規定上、副議長ポストに、文民ポストのような臨時代理者を置くことはできない」と説明した
●同報道官はなぜ候補推挙が遅れているのかには言及せず、オースチン国防長官がバイデン大統領に後任候補者を伝え、大統領が適切なタイミングで発表し、承認手続きへと進むことになる、と会見で説明するにとどまった

●推薦された候補者を審議する上院軍事委員会のJack Reed委員長は、「大統領から推薦者が示されれば、委員会はそのポストの重要性に鑑み、迅速に審議を行う用意がある」、「その職にふさわしい候補者が選ばれることを期待し、上院は超党派の体制で厳正に速やかに承認手続きを進める」とコメントしている

Hyten New Concept.jpeg●28日、現副議長のHyten大将は記者団に、「後任者と直接申し送りを進めたいが、後任推挙も行われていない状態であり、書面での申し送りを準備することになろう」と述べた
●また同副議長は、中国が猛烈な勢いで軍備近代化を進めている中で、米軍のそれが極めて遅く長期間を要する状況に強い不満を示し、「必要な能力獲得の進捗をフォローしているが、ほとんどがその実現に10-15年必要な状態にある」と嘆いた

●「例えば現有のICBMは、1960年代に800発のICBMと格納サイロと管制施設がわずか5年で完成できたのに、次期ICBMは2015年に着手して態勢確立が2035年との見通しになるありさまだ」と語った
●また懸念が高まる中国の極超音速兵器開発に関連し、中国は失敗を恐れず開発に果敢に取り組んでいると説明し、「米国は過去5年間で9回の同兵器試験を行っただけだが、中国は、細部には言及できないが、数百回(the Chinese have done hundreds)も挑戦している」と実態を明らかにした
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Hyten2.jpgHyten副議長は、パイロットでないにも関わらず米空軍参謀総長の有力候補と言われた人物でしたが、最終的には初の黒人Brown大将が空軍トップに収まり、副議長職に就いた経緯のある大将です。つまり、過去記事からにじみ出ているように、軍事メディアもかねてから注目してきた高い見識で持ち主だということです

それだけに、後任人事が難航しているのかもしれません。時間を置かず、後任候補が異例の遅さで示されるのでしょうが、こんな状況も念頭に、後任候補者を眺めていきましょう

それにしても極超音速兵器開発に関し、「米軍が過去5年間に試験が9回に対し、中国は数百回も失敗を恐れず挑戦」とは衝撃的な話です。こんな話が他の装備品開発でもたくさんありそうで心配です

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