ビジネスジェットに最新ISR機材搭載
初飛行成功も、どのような場面で使用か意味不明
8月27日、米陸軍が使用してきたGuardrail ISR aircraftの後継機検討の一環として、Bombardier Global 6000/6500ビジネスジェットにISR機材を搭載した技術デモ機が初飛行に成功したと、後継機プロジェクト担当のL3Harris Technologiesが発表しました
この機体の初飛行は、米陸軍の「High Accuracy Detection and Exploitation System program」の一つで、Bombardierビジネスジェットに「ARES:Airborne Reconnaissance and Electronic Warfare System」を搭載する「米陸軍技術デモ機:U.S. Army technology demonstrator aircraft」との位置づけです。
「ARES」との名称からは電子戦装置のイメージが浮かびますが、「ISRによる敵戦力の高精度の位置特定:High Accuracy Detection and Exploitation」がメインの機材のようです。
米陸軍は「ARES」とは別に、2019年11月から「ARES」より小型の「Artemis:Aerial Reconnaissance and Targeting Exploitation Multi-Mission Intelligence System」の開発契約を結び、同じくBombardierビジネスジェットに搭載して、欧州や米本土での演習で能力確認を行っているようです
米陸軍が本分野でこれまで使用してきたGuardrail ISR aircraftがターボプロップの機体で、後継の「技術デモ機」もビジネスジェットということで、どのような作戦運用や運用環境を想定しているのか「???」ですが、突然米陸軍がステルス機を導入して今後「ARES」や「Artemis」を搭載するとも考えにくいので、市場にあるビジネスジェットで安価に後継機を確保するのでしょう
将来の本格紛争対処を考えると腑に落ちないプロジェクトですが、米陸軍の行き先を考える材料として、概要をご紹介しておきます
8月27日付Defense-News記事によれば
●現有の「Guardrail」は、性能上の陳腐化や部品枯渇で運用が難しくなりつつあり、米陸軍は一部機体を「部品共食い」用として扱い、残機体の運用を維持する方針を決定している
●今回の「米陸軍技術デモ機」契約を、米陸軍はL3Harris Technologiesと2020年11月に結び、約6か月でBombardier Global 6000/6500ビジネスジェットに「ARES」を搭載して初飛行に成功した
●同社の航空機担当社長は、「同機は高度4万フィートで14時間連続飛行が可能で、遠方の脅威の位置特定を可能にし、sensor-to-shooter network能力を増強する役割にふさわしい」、「搭載可能重量が14000ポンドで、かつ十分な電力供給能力があり、米陸軍の最長能力を持つセンサーを支えつつ、拡張性も備えている」とのべ、
●同機体が「ISRによる敵戦力の高精度の位置特定:High Accuracy Detection and Exploitation」プロジェックの有力候補機体だとアピールしている
●米陸軍でプロジェクト責任者を務めるJames DeBoer大佐は、ARESとの名称から電子戦能力を持つとの印象を与えるが、現時点ではそうではなく、その予定もないと説明している
●また同大佐は、「どれぐらいの搭載能力が(搭載機体に)必要か? どの部分に投資すべきか? 将来の拡張性はどの部分に必要か? などを考えつつ、関連企業と議論している」とプロジェクトの状況をDefense-Newsとのインタビューで今年語っている
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米陸軍が現在使用する「Guardrail ISR aircraft」の作戦運用を把握していませんが、後継機で「Army’s longest-range sensors with room for growth」を目指すにしても、ビジネスジェットで大丈夫なんだろうか・・・と考えてしまいます。
米空軍が、E-8 JSTARSの後継機に一時ビジネスジェット機活用を検討しましたが、残存性の観点から航空機の使用を止め、ABMSとのシステム全体で支える方向に向かったような流れが「時代」かな・・・と思っていましたが、米陸軍はどのような運用環境を想定しているのでしょうか?
「ARES」より小型の「Artemis」を搭載したBombardier Challenger 650を、今年春欧州で実施の「Defender exercise」や、5月のユタ州での「Edge 21 at Dugway Proving Ground」に投入したようですが、その様子が気になります
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