海軍士官学校で約100名に処分、18名退学へ
米陸軍や空軍でも同時期に摘発&調査中
Web活用試験が不正を誘発!?
20日、米海軍士官学校は、2020年12月に同士官学校で実施した「一般物理1」のオンライン試験において、受験者653名の中で105名にカンニングの疑いがかけられ、約100名に何らかの処分が下され、その中の18名が退学処分となったと発表しました
同記事は米海軍から発表があった事案のみ細部を伝えていますが、他にも2020年12月に陸軍士官学校で、2021年1月には空軍士官学校でも同規模の試験で不正が発覚しており、捜査中であると触れています
米海軍士官学校の事案は、webを使用した試験の実施要領や監督要領が不適切だったことが最大の問題点だと米海軍は発表しているようですが、コロナ下で学校教育を手探り状態で進めている中、隙をつく手段に出た学生側の責任やモラルを責められても仕方ない状況で、性的襲撃(sexual assult)やセクハラや人種差別問題と並んで米軍幹部にとっては頭の痛い状況です
20日付Military.com記事によれば
●20日に米海軍士官学校が発表したところによれば、2020年12月の「一般物理1:General Physics I」最終試験は「myopenmath.com」とのwebシステムを利用して実施されたが、対象となった653名の学生は試験に際し、資料の閲覧や外部の助けを借りることを禁止されていた
●しかし試験後、士官学校側は一部の学生が「チャット」ソフトを使用して外部者と試験中に会話していた等の不適切な行為を察知し、同士官学校長が直ちに捜査を命じた
●同士官学校は「海軍犯罪捜査局:Naval Criminal Investigative Service」の支援も受け、試験中に試験ソフト以外の外部サイトにアクセスしていた学生をPCログから特定し、105名に許可されていない情報を試験中に利用した疑いがかけられた
●細部調査の結果、105名中の18名が退学処分となり、82名が5か月間の矯正教育を受ける処分が下された。なお、4名は無罪とされ、残り1名は現在も調査中となっている。士官学校側は処分の重さに差がある理由については明らかにしなかった
●これだけ大規模な事案に関わらず、士官学校側は個々の学生が個々に不正を行ったもので、学生が協力して行った疑いは全くないと結論付けている
●また調査は、最大の問題はweb試験における不適切な試験管理要領にあるとし、士官学校は今後極力学生を集めて従来通りの試験方法で行うように促し、web試験を実施する場合は学生の状況をモニターするソフトを使用することや、web試験での不正使用につながるソフトを利用禁止にするよう求めている
●なお米海軍士官学校以外にも、2020年12月に陸軍士官学校での試験では70名以上の学生が数学の試験で不正行為の疑いをかけられ、2021年1月には空軍士官学校で249名が受験した試験で不正行為の調査が行われている
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海軍の士官候補生がどのような環境でweb試験を受けていたのか細部不明ですが、「カンニングは士官候補生としてあるまじき恥ずかしい行為であり、絶対許されない」と明記されている学生綱領「honor code」を学生が順守すると信じて教官側が「ゆるゆる」のweb試験を採用したら、約15%の学生が裏切った・・・との事案です
如何なる環境にあっても、カンニングは「士官候補生としてあるまじき恥ずかしい行為」なのですが、将来ある学生に「変な気」を行させるような試験方法は、教官として考え物だと思います
問題山積の米軍士官学校ですが、米国社会の縮図として捉えるべきで、この時代に士官候補生を志して入学してくれる若者がいること(しかも依然として高い倍率で、一般的には高学力で人物的にも優秀な人材が集まっていることは確か)には敬意を表したいと思います。日本は卒業生に散々お世話になっていますから・・・
士官学校の問題関連
「士官学校の性的襲撃に変化なし」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-02
「米3軍の長官が士官学校でのセクハラ問題議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-10
「出て行ってくれ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-09-30-2
「空軍士官学校の内通者が反旗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10-1
「性犯罪対処室が捜査対象」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-04