資金不足でF-35兵站システムODIN開発停止

ALIS後継システムODINのソフト開発一時停止
要求より42%カットされた2021年度予算で資金尽きる
国防省F-35計画室長が衝撃の発表:再開時期説明できず

ODIN6.jpg22日、米国防省F-35計画室長のEric Fick空軍中将が下院軍事委員会で、機能不全で部隊や関係機関に大混乱を引き起こしているF-35兵站情報システムALISの後継システムとして、2020年1月に開発が決定(2022年12月運用開始を計画)したODINのソフト開発が、見積りの甘さと資金不足で「戦略的停止strategic pause」状態に至ったと証言しました

また再開見込みについて同室長は説明できず、ALISからODINへの移行状況、ODINハードの開発状況、同機保有部隊の状況、及び使用可能資金状況を踏まえて検討し、最新の状況を米議会にも今後報告していくと述べるにとどまりました

ODIN5.jpg兵站情報システムALIS(Autonomic Logistics Information System)の問題は語るに切ない惨状で、ソフト不具合からデータの誤処理が頻発して非稼働F-35を量産し、整備現場や部品管理施設を大混乱させ、おまけに旧発想設計で使いにくく、データ処理が遅く、機動展開用の機材が大きく重くかつネット接続できないなどなど、問題大爆発状態でした

いくら言ってもロッキードがALISを修正できないことから、2020年1月に国防省は開発費2兆円のALISをあきらめ新たなODIN(Operational Data Integrated Network)導入を決定し、ハードはロッキードだが、システム全体管理とソフトは国防省が主導して開発すると宣言しました

その後、昨年9月には新ハードの一部導入が海兵隊部隊で始まり、「装備の重量が1/10に」、「データ処理速度が2-3倍に」、「使いやすさも改善で部隊でも好評」とかの大本営発表(米国防省F-35計画室)がなされていたところでした

22日付Defense-News記事によれば
Fick2.JPGF-35計画室長は、2021年度のODIN関連予算が(おそらく予算要求額から)42%カットされたこともあり、ODINソフト開発の資金が底をついたことから、同開発を「戦略的停止strategic pause」したと証言した
そして「ODIN開発は全ての面において前進していたが、ALISシステムの複雑性やODINへの移行業務量を過小評価していたことについて、幾つかの教訓を得ることとなった」と反省の弁を述べた

また「我々はODINが想定されている地点に到達するため、ハード面でも、データ処理環境面でも、ソフト面でも必要するレベルに確実に到達し、ALISが期待されていた機能獲得追求を続ける」と語った
ODIN2.jpgただし同室長はODINソフト開発再開時期については説明できず、ALISからODINへの移行状況、ODINハードの開発状況、同機保有部隊の状況、及び使用可能資金状況を踏まえて検討し、最新の状況を米議会にも今後報告していくと証言するにとどまった

下院での発言とは別に提出された説明文書は、「ODINの装置はALISと比較して75%小型化され、重量も90%削減されており、価格も30%削減できる見込みである。またデータ処理速度も2-3倍速くなっていることが現場から報告されている」と説明している
また同文書は、「今年夏には、単一機材で複数の飛行部隊を支えることが可能な、経費も節減できる新機材を提供開始する予定」で、「ALISからODINへの移行経費として、今後5年間で約500億円を投資する予定だ」と説明している
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ODIN4.jpg米国と「血の同盟」で結ばれたF-35共同開発国である英国がF-35調達予定機数を半減することを匂わせはじめ、1700機以上調達予定だった米空軍も1000機まで削減する検討中と報じられる中、共同開発国でもないFMS調達国待遇に甘んじつつも、世界第2位の調達機数を予定している日本は、「亡国のF-35」とともに没することになるのでしょうか・・

あまりに悲しく、戦闘機のために汗を流している現場の隊員の皆様があまりにもかわいそうです。航空自衛隊のOBを含む戦闘機命派には、しっかり説明責任を果たしていただきたいと思います

でもねぇ・・・航空自衛隊の主要ポストを務めた戦闘機パイロットは、退役後に外に向けて語ることがありませんねぇ・・・。パイロット以外の人しか研究会とか学会的なところには出てきませんし・・・。

ALISの後継システムODIN
「ODIN提供開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-24
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
「ALIS問題を議会で証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-15
「ALISは依然大きな障害」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-02

F-35維持費削減は極めて困難
「国防省F-35計画室長が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-03
「米空軍参謀総長が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-02
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「維持費をF-16並みにしたい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-01-1

最近のF-35
「英国は調達機数半減か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-24
「伊軽空母に海兵隊F-35B展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-14-1
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-06
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「F-35稼働率の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「新型戦術核搭載飛行試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-28
「5月の事故対策改修は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
「中東でかく戦えり」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「機種別機数が第3位に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07
「B型とC型が超音速飛行制限甘受」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「ボルトの誤使用:調査もせず放置へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-29
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

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