戦略爆撃機による核抑止アラート待機復活を示唆

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新型ICBM開発が無くなりICBM待機が不可能になった場合
米戦略軍司令官が上院軍事委員会で訴える

Richard1.jpeg20日、上院軍事委員会でCharles Richard戦略軍司令官が証言し、核抑止3本柱の一つであるICBM配備が維持できなくなったら、冷戦終了後に中止した戦略爆撃機のアラート待機を復活させざるをえなくなると訴え、バイデン政権内や民主党左派が検討している次期ICBM(GBSD)開発中止やICBM自体の廃止議論をけん制しました

同司令官が仮定した「もしICBM保有がなくなったら」との表現が、次期ICBM(GBSD:
)開発が中止になり、かつ現ICBM(Minuteman III)の老朽化で非稼働になることを懸念しているのか、一気にICBM廃止をバイデン政権が「核態勢見直し: nuclear posture review」で打ち出す可能性を述べているのか不明です

Minuteman III 4.jpgしかし、これまで同司令官が「現ICBM(Minuteman III)の延命は不可能」と訴え、次期ICBM(GBSD)開発予算の削減や開発延期を懸念していたレベルから一気に話が飛躍したことから、核抑止3本柱からICBMを無くし、戦略原潜と戦略爆撃機の2本柱体制への移行が本格的に議論されている可能性を感じさせます

サイバー兵器や宇宙兵器が、国家機能を停止されるほどのインパクトを持ち、なおかつ攻撃発信源の特定が困難な性格を帯びていることから、伝統的な核抑止の役割が低下しているとの議論と、次期ICBM(GBSD)開発に10兆円を超える莫大な予算が必要である現実を踏まえ、米国の核抑止3本柱維持が難しく成りりつつある様子を、戦略軍司令官の証言を機会に考えます

20日付Defnse-News記事によれば
Richard6.jpgRichard戦略軍司令官は、「大統領が命じている全ての任務を遂行するには、核抑止の3本柱の、どの一つが欠けることも許容できない」と述べ
●「既に現在でも、3本柱全が即応態勢にあるわけではない点が忘れられている」、「現時点でも既に即応態勢にあるのは2本柱(ICBMと潜水艦)だけである」とまず現状を説明した

そして同司令官は、「仮にICBMがなくなれば、我々は完全に戦略原潜のみに核抑止を依存する事になる」、「仮にICBMがなくなれば、戦略爆撃機のアラート待機(核兵器を搭載しての滑走路脇での即応体制待機)の復活を要望することになると、私は既に国防長官に告げている」と述べた
ただ同司令官は、ICBMが運用停止した場合に、どの爆撃機をアラート待機につけるかについては言及しなかった

Minuteman III 5.jpg米空軍が保有する爆撃機で核兵器搭載可能なのは、核搭載巡航ミサイルを搭載可能なB-52と、重力投下型核爆弾B61とB83を搭載可能なB-2爆撃機であるが、開発中のLRSO(Long Range Stand Off weapon:しばしばこれも開発中止議論が起こる)は両機種に搭載可能な設計となってる。(B-1はSTART条約で通常弾頭のみ搭載可能)

報道によれば、2017年に米空軍は北朝鮮の核脅威を受け、B-52の核搭載アラート待機準備を進めたと言われているが、最終的な実施指示は出なかったと言われている

また同司令官は同委員会で、繰り返し現ICBM(Minuteman III)は老朽化が進んで延命措置が不可能である点と、2030年代の中国やロシアの脅威に対処するには次期ICBM(GBSD)開発の遅延は許容出来ない点を訴えた
例えば同司令官は「現ICBM管制センターに入るためのスイッチの構造を知る者は既に存在せず、商売にならないそのような装置に取り組もうとする企業も存在しない」と延命の難しさを説明した

なお22日、米空軍Dawkins戦略計画部長は本件について
戦略爆撃機にアラート待機を命じても、現有戦力では長く続けることはできない
より多くのパイロット、爆撃機、整備員、核兵器管理施設、空中給油機を確保する必要がある
次期ICBM開発は、現有ICBM延命措置よりも安価である
・・・と述べ、無理な話だと示唆しています
なお、可能性のあるB-52爆撃機保有76機の内、核兵器搭載可能なのは46機のみです
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Richard2.jpeg核兵器の3本柱議論について「疎い」まんぐーすには、Richard戦略軍司令官の3本柱不可欠論が弱いような気がしますが、配備後半世紀が経過する現ICBM(Minuteman III)の延命が困難なのは理解できる気がします

今後の議論の展開を注視するしかないのですが、ICBM維持に必要な経費が莫大であることを考えると、他に優先順位が高い兵器や装備開発があるような気はします。難しい問題です

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