ACE構想のため輸送機の代わりに完成弾JDAM輸送
現在の9発搭載から15発搭載の試験実施
2日付米空軍公式webサイトは、2月に米空軍の第85試験評価飛行隊で、従来はJDAMを最高9発しか搭載しないF-15Eストライクイーグルに15発搭載する試験を実施し、問題ないことが確認されたと発表しました。
このJDAM搭載量増加試験は、単にF-15Eの攻撃能力強化を狙ったものではなく、F-15Eで組み立てが終了した完成弾JDAMを輸送させることで、C-130輸送機で組み立て前のJDAMと組み立て要員を輸送する負担を軽減する効果を狙ったものらしく、航空アセットを機敏に機動展開させて分散運用するACE構想に資するものだと米空軍はアピールしています
F-15Eの他にも、米空軍は無人機MQ-9に空対地精密誘導兵器AGM-114 Hellfireを従来の2倍の8発搭載する試験を昨年秋に実施し、同じく攻撃力増加と輸送能力強化アップを構想しているようです
2日付米空軍公式webサイト記事や報道によれば
●2日、第85試験評価飛行隊長のJacob Lindaman中佐は、「ストライクイーグルF-15Eは今や、より多くの完成弾JDAMを搭載して戦闘任務に参加したり、搭載したまま遠方の基地に着陸し、F-35やF-22にJDAMを積み替えて運用する作戦にも貢献できるようになった」と試験の成果を表現した
●これまでJDAMを組み立て前の状態でC-130輸送機により運ぶには、JDAM組み立て要員も含めて最低2機の輸送機が必要だったが、完成弾JDAMをF-15Eで輸送できれば、1機のC-130輸送機で対応可能となる
●公開された写真では、片側の翼付け根付近に6発の500ポンドJDAMが搭載されており、この方式で両翼付け根に計12発、残り3発の500又は2000ポンドJDAMは胴体下1発と両翼下に1発づつ搭載可能と米空軍は説明している
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F-15Eにどれほど期待しているのかよくわかりませんが、MQ-9部隊も取り組んでいる言うことは、C-130等輸送機の負担緩和を目指しているのか、輸送機の残存性考慮や搭乗員の生命を守る観点から、機動性や防御能力の高いF-15Eや、犠牲を許容しやすいMQ-9活用を追求しているのかもしれません
下の過去記事「米空軍若手がACEの課題を語る」が示すように、ACEの実施は容易ではありません。緊急展開先、輸送能力、地上支援機材や弾薬等事前集積物資の確保、展開先で複数の業務をこなせる人材育成などなど、課題は山積しています
そういえば、ダブつき気味のMQ-9を太平洋の海面監視用に活用する試験も行われていましたから、使えるものはF-15Eも含めて何でも使おう・・・との検討の中の一つのアイディアかもしれませんが
米空軍の戦力分散運用ACE関連
「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-28
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-13
「中東派遣F-35部隊も挑戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「三沢でACE訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-21
「太平洋空軍がACEに動く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-12
「太平洋空軍司令官がACEを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「F-22でACEを訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-03-08
「MQ-9の対中国海上作戦への応用演習」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-26