国防省は200発強、民間研究者は350発
米露の1550発上限(新START条約縛り)よりは少ないが
12月14日付Defense-Newsは、FAS(Federation of American Scientists)の研究者2名が、中国の核弾頭保有数を国防推計よりはるかに多い350発程度と見積もり、現在開発中と言われる空中発射型の極超音速兵器や巡航ミサイル、地上移動式最新ICBMなどへの将来搭載を弾頭を考慮すれば、その数はさらに増加するとの研究レポートを紹介しています
国防省発表の「中国の軍事力」レポート最新版では、「low 200s:200発代の低い数」との見積もりとなっているようですが、民間研究者Hans Kristensen氏とMatt Korda氏は、約350発に含まれるのは地上発射極超音速ミサイルやICBM、更に潜水艦搭載SLBMをカウントしたものだけだと説明しているようです
14日付Defense-News記事によれば
●350発の内、272発は運用可能体制にあると表現し、204発が地上配備ミサイル用、48発が潜水艦発射用、20発が爆撃機からの自由落下爆弾だとレポートしているが、爆撃機用の20発は事実上「冬眠状態」だと表現している。
●それでも中国では最近、H-6爆撃機に極超音速兵器のモックアップを搭載して飛行している様子が確認されており、開発中とはいえ、遠くない将来に爆撃機搭載弾頭が運用体制になる可能性がある
●ただし推定350発の中には、開発中と推測されている空中発射型極超音速ミサイルや弾道ミサイルは含まれておらず、同じく開発中(?)のDF-5C多弾頭ICBM用の核弾頭も含まれておらず、旧式弾頭が破棄されても核弾頭数が350発より増えるだろうと同レポートは推測
●それでも、中国が保有する核弾頭数は米露(1550発上限:新START条約縛り)と比較するとはるかに少なく、トランプ政権のMarshall Billingslea兵器管理交渉代表が訴えている「中国は米露と同数レベルの核弾頭保有を目指している」との主張には、ほとんど根拠がない・・・と同レポートは主張している
●同レポートはまた、中国の核ミサイル部隊の即応態勢は高くないと述べ、大部分の核弾頭は集中管理されており、一部が地方に保管されている程度だと分析。この点は国防省レポートも同じ見立てで、発射機、ミサイル、弾頭は別々に保管されているとしている
●一方で国防省側は、中国軍のミサイル旅団は即応体制訓練を行っており、訓練ではミサイル旅団が月単位で展開場所を変更しながら、交代で即応態勢を維持する様子をレポートしている
●中国側は核兵器部隊について「緩やかな即応態勢」にあると表現し、指定された部隊がミサイル保管施設の近傍に展開待機してしているとレポートしているが、当該部隊は中央軍事委員会の目の届く範囲に置かれ、不穏な動きがあればすぐに対応できる状態に置かれている模様
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中国が様々な核弾頭運搬手段を、様々な射程で準備してくると、西側はどうするのか・・・との重い課題が突き付けられつつあります。
米潜水艦用に低出力核弾頭搭載兵器が開発され、F-35内装兵器庫に搭載可能なB61-12新型戦術核兵器の搭載飛行試験が終了したり、核兵器使用のハードルが低くなる方向にある中、日本は米軍の核兵器受け入れを求められる可能性があります
日本でも、研究者や専門家はその足音に気づいているのかもしれませんが、だれも口に出さない、出せないのが今の日本です
軍事ブロガーJSFさんの「DF-17」解説
→https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20191008-00145888/
中国の極超音速兵器開発
「中国空軍H-6Nが極超音速兵器試験?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-20
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1
「中国が優位なのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14
「SIPRIが核兵器の年次報告」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-17