F-35A型への新型戦術核B61-12搭載飛行試験終了

部品の信頼性問題でB61-12製造が2022年以降と大幅遅延中も
F-15Eとは3月、B-2とは6月に搭載適合試験終了とか

B61-12 F-35.jpg11月23日付TheDriveが、ネバダ州の秘密試験場で行われた新型戦術核爆弾B61-12のF-35A型内部兵器搭載庫への搭載・投下試験が一応終了したと映像付きで紹介し、3月のF-15Eと6月のB-2爆撃機に続いての成果だとしています

ただF-15EやB-2は、核爆発から機体を守る改修対応済で既存の3つの戦術核(B61-1,2,10型)も使用可能ですので、新型B61-12へ適合搭載試験だけで、恐らく実戦可能となっているのでしょうが、コロナとの関係や作戦上の秘密として、以前は2020年末としていた適合承認時期について、米空軍は今は明確にしていません

B61-12 F-35 3.jpgまたもう一つの大きな問題として、航空機搭載の新型戦術核兵器B61-12も、潜水艦搭載のSLBM「Trident D5」の弾頭「W88 ALT 370」も、民間企業製造の重要部品の信頼性が不足していることが2019年に判明し、1個当たり5ドル程度の当該部品の代替品を確保するために約900億円もの投資が必要だと判明した等の理由で、B61-12の配備開始は早くとも2022年以降になる状況も絡んでいます

更に言えば、上記のような核兵器に関する信頼性確保や関連製造維持インフラへの投資額も含めると、B61-12の価格は同重量の「黄金」と同程度にもなるとも言われており、核兵器の在り方や抑止概念の整理などの議論を生起させる要因となっているところです

11月23日付TheDrive記事によれば
B61-12 2.jpgSandia国立研究所は、米空軍やロスアラモス研究所と協力し、新型戦術核爆弾B61-12重力投下爆弾をF-35Aに適合させる一連の飛行試験を終了したと明らかにし、F-35の内部兵器格納庫(internal bomb bay)から同戦術核爆弾を投下する映像を初めて公開した
公開された映像は、8月25日に非公開のネバダ州Tonopah Test Rangeで行われた試験模様で、B61-12型の模擬爆弾を高度約3300mから投下し、42秒後に指定されていた目標地点に着弾した様子を納めている

同戦術核システムチーム長は「F-35による歴史的な投下試験を成功裏に実施できた。この試験で同戦術核とF-3A5型との連接に関する機械、電気回路、データ通信など全ての側面を確認できた」、「これら最近の試験はF-35AとB61-12爆弾に関わる最も緊要な部分であった」と成功した試験を振り返った
B61-12 3.jpg8月の試験映像では、F-35から投下されたB61-12が、落下途中で同爆弾中央部に装備されたロケットを噴射して自らを安定させるための回転運動を始める様子が確認できる。また同爆弾にはJDAMキットに含まれているようなフィンが装着されており、GPS信号による誘導と空力作用で誘導爆弾的な運用が可能となっている

F-35へのB61-12適合試験は遅くとも2019年から開始されており、2020年6月には国防省F-35計画室が搭載試験飛行の写真を公開していたが、今回の搭載投下飛行試験の終了を受けても、最終的にいつ承認されるのか米空軍は「作戦運用上の秘密」として言及を避けている。2017年時点では、2020年末には搭載承認が下りると予定されていたが

2020年8月の投下試験(約50秒)

ただ、特にF-35Aでの試験は、超音速飛行可能な機種の空気抵抗の少ない内部兵器格納庫(internal bomb bay)から投下する手段を確保した点で重要であり、超音速飛行可能なF-15Eでも外部搭載した状態からの投下や、内部兵器庫から投下可能ながら亜音速飛行した出来ないB-2(B-21次期爆撃機を含む)からの投下とはその重要性が異なる
ちなみに、強固な防空網圏内での作戦が困難とされているB-52爆撃への搭載適合試験が行われるかは不透明だが、現時点ではB-52の脆弱性から戦術核兵器搭載任務は付与されていない

B61-12 F-35 2.jpgSandia国立研究所は、3月にF-15E戦闘爆撃機とB61-12新型戦術核の敵動画確認できたと発表し、6月にはB-2戦略爆撃機との適合性も確認したと明らかにしている
欧州NATO加盟国との「NATO nuclear sharing commitments」の関係から、欧州諸国が広く使用しているF-16C/DとB61-12との適合試験も計画されているが、ドイツやイタリアがトーネードの後継機として検討しているFA-18との適合試験実施は今検討中である
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B61戦術核兵器の話題は、欧州NATO諸国との「NATO nuclear sharing commitments」との関係から興味深い話なのですが、4年ぶりに取り上げました。ドイツのトーネード後継選定のゴタゴタと合わせ、欧州と米国の関係を考える上での「リトマス試験紙」の一つですので・・

しかし核兵器は「お高い兵器」なんですねぇ・・・・。日本も核武装を・・・との勇ましい話が時々飛び出しますが、このあたりも踏まえた落ち着いた議論が望まれます・・・

F-15Eストライクイーグルでの投下試験(2分半)

戦術核兵器とF-35等
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

ドイツと戦闘機関連記事
「独3機種混合案検討を認める」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-23-1
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「トーネード後継でFA-18優位?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-08
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「核戦力維持に10兆円?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
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「オハイオ級SSBNの後継構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25-1

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