特殊作戦担当次官補に長官への直接報告を指示
陸海空軍長官と同等の扱いに
18日、Christoper Miller臨時国防長官が米軍特殊作戦部隊の「母基地」との位置づけにあるノースカロライナ州の米陸軍Fort Braggを初の部隊訪問として訪れ、米軍の特殊作戦担当高官が国防長官に直接報告するように指示したと明らかにし、具体的にはEzra Cohen-Watnick特殊作戦軍担当次官補(臨時)が、政策担当次官を介することなく直接報告できるように仕組みを変更しました
国防長官への直接報告は、陸軍、海軍、空軍の各長官に認められているものですが、Cohen-Watnick次官補に同等の権利を与えることで、米軍の重要な役割を担いながら現場の意見や不満が中央に届いていないとの特殊作戦軍関係者の不満に、その道のプロである臨時長官として「いの一番に」答えたということでしょう
この扱いが一時的なものか、恒常的なものになるのか位置づけがよくわかりませんし、予算とか行政運用面での変化があるとも考えにくいのですが、アフガンとイラクの米軍兵士削減を発表した翌日に、この発表を同基地の米陸軍特殊作戦部隊記念碑の前で行った模様で、約2か月間の短期間に賭けるミラー臨時長官の思いが詰まった動きの様なのでご紹介しておきます
18日付Military.com記事によれば
●18日ミラー臨時長官は、長官として初の部隊訪問先として選んだFort BraggのArmy Special Operations Command Memorial Plazaの前で、「私は特殊作戦担当の文官職員に対し、国防長官に直接報告するよう指示した。初めて陸海空軍長官と同等に扱うことにしたのだ」、「この改革は、国防省と米軍の機敏性を改善し、意思決定を円滑にし、より迅速に現場指揮官と陸海空海兵隊の関連兵士たちを支えるためである」と説明した
●また「トランプ大統領の支持を得て、米国特殊作戦軍の新たな歴史を開き、改革の分岐点とする。今ここから、我々はより強固な文民監督のもと、重要な特殊作戦を擁護し支援していく」と指示の背景を説明し、この動きは2017年国防授権法で認められたものだと述べた
●また同臨時長官は、特殊作戦軍の地位向上は、16日に示した同長官の3つの目標(アフガン及びイラクでの戦いの終結、対中露を重視する国家防衛戦略NDSの継続遂行、transnational threats対応の加速)と、方向を同じくするものだとも述べ、1987年に特殊作戦コマンドが編成されて以来の関係者の不満に対応するものだと説明した
●更に同長官は、ここ最近の国防省内の人事の動きや同長官の取り組みが反発を生んでいることに触れつつも、トルーマン大統領の言葉「ワシントンDCで友人を得たければ、犬を飼え」を引用し、気にしない姿勢を示唆した
●具体的に陸海空軍長官並みの直接報告権を与えられるのは、Ezra Cohen-Watnick特殊作戦&低列度紛争担当次官補で、上司である政策担当次官を通じてではなく、直接報告することが認められることになる
●Cohen-Watnick次官補は、「臨時長官の指示は、60年前に当時のケネディー大統領が予言していた特殊作戦の地位や重要性向上のビジョンを、トランプ大統領の下で具体化したものだ」と表現している
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特殊作戦担当次官補が陸海空軍長官と同等の直接報告権を得たことが、どれほどの影響があるのか理解できていませんが、来年1月20日までの短期間で、特殊作戦部隊重視で突っ走ろうとの姿勢はよくわかりました
「ワシントンDCで友人を得たければ、犬を飼え:If you want a friend in Washington, buy a dog」は直訳的に解釈すれば、様々な人々の思いが交錯する政治の町ワシントンDCで、人間の友人を得ることは難しいから、犬でも飼って話相手にした方が良い・・・との言葉ですが、何をやっても反対する人はいるのだから、自分の信じる道を進ませてもらう・・とのミラー長官の決意表明と受け取っておきましょう
「トランプ大統領の支持を得て」との言葉が複数回使用されており、今のトランク氏の状況からすると心配ではありますが、自らがアフガンなど中東で特殊作戦に従軍した元大佐の決意ですので、その成り行きを見守りましょう・・・
話題のEzra Cohen-Watnick次官補は、エスパー長官更迭を受け辞任した情報担当次官の臨時後任に指名されたはずなのですが、その辺りの関係はよくわかりません
対テロ専門家の臨時国防長官をご紹介
「臨時国防長官Christopher Miller氏はどんな人」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-10
「16日に3つの目標を全国防省宛てに明示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-18
「アフガンとイラク派遣兵力削減指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-17
バイデン政権の国防長官最有力候補フロノイ女史の思考
「必要な国防政策を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-12
「米議会で中国抑止を議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09
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