10年以上前の記事です
派閥のリーダーを辞任して勢いのなくなった石破茂氏ですが、防衛庁長官として発表した平成16年度版(2004年)防衛白書の巻頭言は、官僚の作文でない思いのこもった自筆文章として話題を呼びました。グッドジョブだったと思います
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平成16年度版(2004年)の防衛白書は、防衛省(当時は防衛庁)発足50周年にも当たったことから、当時の小泉首相の挨拶が巻頭を飾るなど、半世紀を振り返る内容を含む白書として例年とは少し異なっていました。
しかし・・・何よりも石破防衛庁長官(当時)の挨拶に当たる「刊行に寄せて」が大きな注目を集めました。それは、その内容がこの種の出版物の冒頭に見られる「官僚の作文」ではなく、大臣自らが筆を執ったと思われる内容だったからです。
冒頭から全体の1/3を引用すると・・・
●2003年12月24日、イラク復興支援特別措置法に基づきはじめて派遣される航空自衛隊輸送機部隊の編成完結式が、最高指揮官である小泉純一郎内閣総理大臣臨席のもと、小牧基地において執り行われた。
●世間の多くの人々にとって、一年で最も楽しみな日のひとつであるこの日に、多くの若い隊員たちに厳しい任務を与える行事を行うことに、私は心の中である種のすまなさを感じていた。
●編成完結式後に行われた壮行会において、私はできる限り多くの隊員と言葉を交わし激励をするため、会場内を回っていた。そのとき、ある若い隊員が私の手を握って、「総理の訓辞を直接聞き、こうして長官から激励してもらえる、私にとって今日は人生最高のクリスマスイブです。立派に任務を果たしてきます」と言ってくれた。
●私が防衛庁長官になって以来、最も感激した瞬間であり、このことを一生忘れないと思う。この日本にはこのような若者がいるのだ、そしてこのような人々の集団が自衛隊なのだ。私はこの時期に防衛庁長官であることを心から誇りに思ったことであった。
●また、去る6月6日、イラク・サマーワにおいて立派に任務を果たし帰国した陸上自衛隊第一次派遣隊の慰労会においても、同じ感激を味わうことができた。
●未だ危険の存在するサマーワの地において、いかに現地の人々の心を捉え、いかに安全に任務を遂行するか、そのために彼らは筆舌に尽くしがたい努力をし、日本の国益の実現、国際社会の一員としての責務の遂行、イラクの人々の期待に応えること、そして日米安全保障体制の信頼関係の強化、というイラク派遣の諸目的を見事に達成したのであった。
●我々自衛隊に対する評価は近年、国内外において飛躍的に高まっている。ある世論調査によれば、自衛隊に対する国民の好感度は、20年前の2倍の70%弱にまで達し、私の長官室を訪れる各国元首や国防大臣たちも、極めて高い讃辞を寄せてくれている。
●イラクのみならず、それはゴラン高原やインド洋、さらには東ティモールにおいて、過酷な環境の中、日本の平和への願いと善意の実行者として隊員たちが活動していること、そして国内においても国の独立と平和、国民の生命・財産を守るため、服務の宣誓を誠心誠意実行している隊員諸官の努力を、国内外の人々が正当に評価してくれたことの証しである。
●しかしながら我々は決してこれに満足すべきではない・・・・・
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あれから7年・・・何が前進し、何が変わらなかったのか・・・。変えようとしなかったのか、変えるのを拒んだのか・・・。
あの時のクリスマスイブ・・皆様はどのようにお過ごしだったでしょうか・・・・。
平成16年(2004年)の防衛白書
→http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2004/2004/index.html
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