米空軍研究所の主要テーマ「兵器の群れ行動制御」苦戦

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計画発表から1年半経過も、今から外部の知恵募集へ
MALDは計画から外す可能性も

weapon-swarm.jpg9月29日付米空軍協会web記事は、米空軍の「new science and technology strategy:新科学技術戦略」(2019年4月)に基づき、米空軍研究所AFRLが「先進的で前衛的な道を切り開く新しい研究開発プログラム(vanguard programs)」として取り組む3分野として2019年11月に定めた一つ、「兵器の群れ行動制御:a weapon swarming project」(通称:Golden Horde)が苦戦していると関係者へのインタビューを紹介しています

ちなみに「Vanguard Programs」として取り組む他の2つは、「無人機ウイングマン機:Skyborg wingman drone」と「新型GPS技術研究衛星:an experimental satellite effort(NTS-3)」です

3分野決定時に「兵器の群れ行動制御」をご紹介した際は
weapon swarming3.jpg敵を混乱させるため、既存の兵器を群れとして使用する「自立制御:autonomy」の検討
例えば、共に作戦予定の他編隊の離陸が遅れた場合、互いにネットワーク上で連携を取り、先行編隊が遅れた編隊を待って同時攻撃を作為する等の自律的な行動を期待

また、攻撃プランが機能しないと判断した場合は、事前リストの中から次善の目標を捜索し、最善の兵器を再選択し、行動ルートを変更して任務を遂行なども期待
2020年の夏には「巡航ミサイルの群れ」の初度試験を予定し、2021年夏には他の兵器も組み合わせた試験を狙っている

米空軍研究所のHeath A. Collins准将へのインタビューは極めて分かりにくく、「遅れている」「苦戦している」との表現を使わない強気姿勢ですが、報道記事のタイトルは「Air Force Wants Help Teaching its Weapon Swarm How to ‘Think’」とズバリ指摘しており、名が体を表しています。苦戦の様子がわかる部分を多少意訳し、つまみ食いでご紹介します

9月29日付米空軍協会web記事によれば
NGAD7.jpgCollins准将は、この技術の重要性を踏まえ、研究対象のSDB(Small Diameter Bomb I)の群れ技術を前進させることに取り組んでいるが、開発に着手して1年以上経過した現在でも、実環境でネットワーク化された兵器に「how to think」させるかや、「playbooks:行動基準」をどのように作成するかに苦心している
「もう少し、関連技術を対象兵器や目標群に対し、どのように適用するかを学ぶ必要がある」と語り、研究者たちは外部の知恵を借りてこの問題を解決したいと考え始めている

「NCA(networked, collaborative, autonomous)兵器システムの開発と成熟に挑戦しており、企業や学界や技術使用者の皆さんのアイディアを持ち寄っていただいて、バーチャル環境で競い合って試験ができるような環境立ち上げにも取り組んでいる。このような取り組みから、戦いの場でNCAが何を提供できるか、どのような攻撃対象にどのような対応が可能かをより深く学んでいきたい」と述べた
weapon swarming2.jpg米空軍研究所は「兵器の群れ制御研究(Golden Horde)」の一部再検討や仕切り直しにかかわらず、10月には関連無線ソフトのバァーチャル試験を行い、実際の飛行試験を今年末に行う計画だと同准将は述べた

我々は一度過去にさかのぼってこれまでの知見を再確認し、SDBでの試験を更に前に進めることで新たな知見を得られると考え、スケジュールを遅らせることなく立てている。多くのSDB改修も実施済で、実用化に近づいていると思う」と同准将は語った
当初はMALD(Miniature Air-Launched Decoy)をこの研究対象に含めて進めていたが、空軍研究所は「現在今後について検討している。まずはSDBに集中し、その後成果を他に展開したいと考えている」とし、MALDを一旦研究対象から外すことも考えている

weapon swarming.jpgまた同准将は、極超音速兵器や敵防空網制圧兵器「Stand-In Attack Weapon」にも、群れ技術を将来拡張したいと考えている模様だが、いづれにしても、バーチャル環境で実施可能な開発設計やテストは極力事前に実施し、「最初から生産ラインに設計図を持ち込みたい」と語ってい
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小型ドローンを大量に飛ばして制御し、空中や水上に絵をかいたりする規則性のある「無人機の群れ」技術は確立されているのかもしれませんが、これに「自立制御:autonomy」や「人工知能」を加え、最新の全般状況をリアルタイムで共有する仕組みとなるとなかなかハードルが高いのかもしれません

10月にバーチャルで試験するという「関連無線ソフト・技術」も、複雑なものが必要なのかもしれません。

2019年4月に「新科学技術戦略」ができたのに、11月まで重点3分野を決定するのに時間がかかったのは、成功する可能性程度の見極めが難しかったからかもしれませんねぇ・・・。でも期待してます

「米空軍研究所が重視する3分野」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-26
MALD関連記事
「MALDが作戦可能体制に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-29-1
「MALD完成間近」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-04-1
「続MALDをご存じ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-07-1
「MALDをご存じ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-16

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