戦闘機新調達方式は可能だが大きな変化が必要と
レガシー装備早期退役説明は代わる新装備の説明が難しい
22日、軍事メディアのオンラインイベントに出演したBrown空軍参謀総長が、米空軍を巡る様々な課題について言及しています
「今変化しなければ敗れ去る」との衝撃的なタイトルの小冊子を発表し、米空軍の改革に取り組もうとする同大将の考え方や課題へのアプローチ手法について、米空軍が2018年にぶち上げた386飛行隊目標、伝統的装備Legacy capabilityの早期退役への取り組み、Roper次官補が14日に言及した次期制空機のデモ機初飛行や新調達方式への考え方など、今気になる点に触れていますのでご紹介しておきます
どうやら米空軍への風当たりは米議会などで厳しいらしいですが、「米空軍は、これまで要請に応じ実施してきた任務全てを遂行するほど、もはや十分に大きくない」と明確に主張しつつ語るBrown大将の率直な姿勢を、今後いろいろと打ち出されていくであろう米空軍の施策を見ていく上での参考に、22日付米空軍協会web記事から取り上げます
2018年の「The Air Force We Need」での386飛行隊
●現在の飛行隊数から70個飛行隊以上増強する必要があると2018年の「The Air Force We Need」で打ち出したが、それは宇宙軍創設以前の必要数であり、現在も米空軍として300飛行隊以上は必要だと考えているが、386との数字に今や意味はそれほどない
●仮に386飛行隊の体制が確立されたとしても、私にとって問題なのはその能力である。
伝統的装備Legacy capabilityの早期退役と新装備導入
●かなりの規模の伝統的装備Legacy capabilityを早期退役させ、新たな兵器システムを代わりに導入することを、米議会の理解を得て進めることは大きな挑戦である。
●難しいのは、伝統装備に代えて導入したい新たな装備が厳しい情報統制下にある「秘密開発プログラム」である点で、他軍種に比べて米空軍の開発装備にはこの非公開装備が多く、旧装備の退役をお願いできても、新たなものについて説明が難しい。
●この問題への対応として、議会の皆さんには「非公開」「秘密」のブリーフィングを行い、同時に選挙区の皆さんへの説明に使用してもらえるような「公開可能版」の資料を準備するなどして、より広い戦略的な視点からご理解いただけるよう取り組みたい
●要望が全て聞き入れてもらえるとは思わないが、説明して議論していくことが大事だ。過去の説明より少しでも将来の姿も含めて全体像がご理解いただけるように改善したい
次期制空機NGADと新調達方式
●(14日にRoper次官補が発表して大きな話題となったNGADについて、多くの記録を作ったと述べたが、どのような記録を打ち立てたのか?)その点については詳しくお話しできない。
●申し上げられるのは、これまでとは異なるやり方で、過去よりも少し迅速に成し遂げることができた点である。何を組み上げたかではなく、どのように取り組んだかが重要である。目指しているのは、如何に前線兵士のもとへ迅速に戦力を提供するかであり、それがこの取り組みである
●(Roper次官補の新調達方式は可能なのか?)可能であるが、そのために米空軍はビジネスモデルを変える必要がある
●兵器システムの保有者としてのコスト全体に大きな変化はないが、装備寿命の前半に投資を集めるとの考え方である。Roper次官補の考え方は変化を加速するモデルとなろうし、より脅威環境に適応し、進歩する技術に追随する従来とは異なるプロセスを目指すものだ
●軍需産業界とともに取り組んでいく事をお約束したい。各企業が利害関係者として種々懸念されていることを承知しているが、国家安全保障上のニーズがあることもご理解いただきたい。米空軍はより良いあり方を目指し、同時に軍需産業にとっても持続可能なビジネスモデルを提示したい
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どうやら戦闘機調達の新方式「Digital Century Series acquisition model」方式について、挑戦するような雰囲気です。F-35やF-15EX調達への影響について注目したいと思います
もう一つの多きな山である「伝統的装備Legacy capabilityの早期退役」についても、武運長久を祈らずにはおれません・・・。
関連する米空軍の取り組みや課題
「大激震:米空軍は次期制空機のデモ機を既に初飛行済」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16
「今後の米空軍の課題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-12