F-35の中東派遣第2弾で昨年10月から9か月間
新米パイロットや整備員を引き連れた中佐が振り返る
8月18日付米空軍協会web記事が、F-35飛行隊の第2弾として中東UAEのAl Dhafra基地に派遣された第34戦闘飛行隊長Aaron Cavazos中佐への取材記事を掲載し、命令から2週間で現地に展開し、米本土ではほとんど想定していないような任務から、不便な分散基地からの運用ACE(agile combat employment)も長期にわたり遂行した様子を紹介しています
米空軍応援団の米空軍協会のF-35紹介記事ですので、様々に評判の良くないF-35をアピールするための「よいしょ記事」の部類ですが、現場の作戦運用について最近はガードが堅い米空軍が、F-35の活躍を紹介するため、少しは現場の様子を紹介していますので取り上げます
戦闘機部隊の飛行隊長と言えば、おそらく30代半ばから40代半ばぐらいまでの中佐です。初の実戦派遣を経験する新人パイロットや整備員をも引き連れての奮闘ぶりをご紹介し、現場の頑張りに敬意を表します。
18日付米空軍協会web記事によれば
●米空軍のF-35は、過去16か月間に渡り継続して中東に派遣されているが、そこではISISの残党を攻撃したり、米海軍部隊の護衛にあたったり、地上部隊を支援したり、また新たな戦法のテストを行ったり、様々な任務に従事し、米軍のプレゼンスを示している
●ご紹介する第34戦闘飛行隊は、昨年10月から今年6月までUAEに派遣され、いくつもの「F-35初」に挑戦して成し遂げてきた部隊であるが、同飛行隊長が米空軍協会へのメッセージを寄せてくれたので紹介したい
●「次に派遣される飛行隊だとは知らされていたが、それがいつになるかは知らされていなかった。ある日飛行訓練から戻る飛行中に、航空団司令官がお呼びだとの連絡を受け、誰かが負傷した場合や任務指示以外ないことなので、着陸後、心して司令官室に出向いた。そして約2週間後に、我が飛行隊は戦闘任務に従事していた」
●「派遣期間を通じ、我が飛行隊はF-35で何が出来るかをあらゆる側面から証明できたと思う。米中央軍からの要求は、CAS近接航空支援から防空、攻撃的任務から海上作戦支援へと、1日の中でも目まぐるしく変化した」、「だが、我々は命に応じて全てに対応し、第5世代機の能力からすると普通は期待されないCAS用の機銃掃射から、米空母戦闘群の護衛までを1日の中で遂行した」
●派遣期間の任務の大部分はISISへの攻撃だったが、イランとの緊張が高まる中での展開はイラン抑止を強く意識したものとなり、従来の中東への展開時とは異なり、より強い脅威を意識し、日々ATO(air tasking order)をこなす伝統的な展開任務とは一線を画す体制だった
●例えばイランがイラク内の米軍基地を弾道ミサイルで攻撃した際、米国は公式に認めなかったが同飛行隊が中東に展開していた。当時、イランとロシアが6機のF-35が国境付近を飛行していると主張していたが、同F-35はかつて民間機を撃墜した防空ミサイルクルーが地上に展開していることを探知していた
●また第34飛行隊は、展開兵士の1/3を非公開の設備不十分な基地に展開し、3か月間継続して後方支援の不十分な基地からの運用を遂行し、ACE(agile combat employment)を実戦環境で実施した実例となった
●F-35の維持整備は依然として大きな課題で、2019年の稼働率は62%以下となっているが、第34飛行隊は非公開の展開先での運用を含め、維持整備問題で命ぜられた飛行を断念したことは一度もなく、この面でも特筆すべき成果を上げている
●同飛行隊長は「F-35操縦教育を終えたばかりの操縦者も実戦に触れ、どのように統合作戦が遂行されているかや、予測不可能なことが生起する現実を体感した。これらの経験は彼らを確実に成長させている。当然自信につながるし、帰国後の日々の訓練で何を鍛えるべきかを身にしみて感じている」、「寄せ集めのF-35部隊から、F-35ファミリーになれた」と振り返った
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「機銃掃射」に「ACE(agile combat employment)」ですか・・・・。
「six U.S. F-35s were tracked flying near its borders, spooking air defense crews to the point that one crew shot down a civilian airliner by accident」の意味がよくわかりませんが、F-35の偵察能力の高さをアピールした表現だと思います
コロナの影響で派遣期間が延びた第34飛行隊ですが、部隊は大きく成長したでしょう
「作戦サイクル・ATOサイクルなど役に立つのか?」
→https://crusade.blog.ss-blog.jp/2014-05-05
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