コロナを巡る米軍と英軍の判断事例3つ

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
応援お願いいたします
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
//////////////////////////////////////////////////////////////////////

今後各方面で悩ましい判断が続きます
West Point Trump.jpg4月30日付で米軍事メディアが、コロナ感染の最中で米軍と英軍が行った判断の事例を紹介していますので、2年に一度の環太平洋海軍演習RIMPAC2020、トランプ大統領出席の陸軍士官学校卒業式@ニューヨーク、そして新型英海軍空母Queen Elizabethが乗員800名で訓練の3例について取り上げます

いずれも、中止ではなく慎重に対策しながら実施する方向の決断がなされたとの話で、RIMPAC2020は地上での行事を局限してハワイ州への影響を局限かつ期間も短縮、陸軍士官学校卒業式は2週間延期して実施、空母Queen Elizabethは乗員全員のコロナ検査を終え、国防相の許可を得て数週間の最終点検訓練を行うようです

世界各国は、感染のピークを一旦越えたかに見える中、感染第2波を避けつつ通常体制への復帰要領を模索していますが、そんな中での事例を通じ、あれこれ周囲との関係に配慮しつつ前進しようとする様子をご覧ください

2年に一度の環太平洋海軍演習RIMPAC2020
RIMPAC 2020.jpg4月29日、6月末から8月上旬にかけてハワイを中心に計画されてきた2年に一度の環太平洋(海軍)演習RIMPAC2020に関し米海軍は、5週間の訓練期間を8月17-31日までの2週間に短縮して実施する方向だと明らかにした
4月上旬、ハワイ州知事が米海軍に対し、コロナ感染拡大を危惧して同演習をコロナ収束まで延期するよう申し入れていたことに対する米海軍の検討結果で、陸上で行われる参加各国海軍間の交流行事やハワイ研修などの活動を局限することも米海軍側が提案した

米海軍側は「この状況下でも、最大限の演習効果を確保し、かつコロナ感染のリスクを最小限にする演習にする」と述べ、ハワイ州知事は、米海軍が演習の延期と海上での行動中心に見直してくれたことをうれしく思う、今後もコロナの状況を注視するとのコメントを出した

ハワイ州では延べ613名の感染者が出て旅行者の受け入れを停止しているが、最近2週間では新たに4名の感染者しか出ておらず、「social distancing」に注意しつつ、ゴルフ場、自動車販売業等々の営業再開方針を最近明らかにしていた
●なお2年前のRIMPAC2018演習には、25か国から46隻の艦艇と人員25000名が参加し、ハワイに上陸していた

トランプ大統領出席の陸軍士官学校卒業式@NY
West Point Trump2.jpg4月30日、James McConville陸軍参謀総長は「我々はテレビ会議では戦えない」と述べ、当初5月下旬に予定していた陸軍士官学校の卒業式を延期し、6月13日にトランプ大統領隣席の元で卒業生のみで実施すると発表した。なおトランプ大統領は、海空士官学校卒業式には過去出席して祝辞を述べているが、陸軍士官学校は今回が初めて
陸軍士官学校はニューヨーク郊外のWest Pointに所在するが、コロナ感染対策で在校生全員が3月から全米の自宅に戻っており、今回の卒業式のために感染リスクを冒して学校に戻して集団生活をさせることに批判の声や、政治的判断だとの声上がっている

士官学校側は感染対策を完璧に準備すると説明し、帰校した学生を全員検査して感染者を除いて5つのグループに分け、グループ間の接触がないように行動させて卒業式まで2週間の隔離期間を設けるとしている。また卒業生が部隊に赴任するまでに、健康診断や装具の配分や訓練のため士官学校に戻る必要もあると説明している
McConville陸軍参謀総長は「小規模で安全な卒業式を計画する」と述べたが、民主党議員からは「自らのスピーチの場を設定するため、将来の米陸軍を担う1000名もの卒業生をリスクにさらす自分勝手で無謀なトランプ大統領の判断だ」と厳しく批判し、卒業生OBからも批判の声が上がっている

●ちなみに、空軍士官学校は4月18日にペンス副大統領隣席の元、コロラド州の同校で卒業式を行い、米海軍はバーチャル卒業式形式で行うとしている

新型英空母Queen Elizabethが乗員800名で訓練へ
Queen Elizabeth.jpg4月29日、来年からの実戦投入を予定されている英海軍の新型空母Queen Elizabethが、最終的な8週間にわたる訓練状況点検(Flag Officer Sea Training assessment)を受けるため、乗員800名とともに英海軍ポーツマス港を出港した
排水量6.5万トンの同空母は、F-35戦闘機とともにこの間行動し、戦闘中の被害対処訓練(火災対処や浸水対処などなど)のほか、各種任務遂行の訓練を通じて実戦任務に耐えられるかをテストされる

この種の訓練は通常海軍内で淡々と実施されるが、米空母ルーズベルトが1000名もの感染者を出し、米海軍長官と同空母艦長が職を追われる事態になっていること等を受け、英海軍が本訓練の位置づけや訓練継続の重要性を英国防相に説明し、訓練許可を願い出る異常な手続きを踏んで実施されることになった
同空母の乗員約800名は全員コロナ検査を事前に受け、全員陰性を確認するために数日出港が遅れたが、Ben Wallace英国防相は英議会軍事委員会で4月22日、「米海軍や仏海軍空母で発生した事例には触れたくないが、艦長にはコロナ感染発生したなら艦長の判断で訓練の中止や帰還を躊躇なく行うよう指示している」、「英国近海で訓練を行い、ヘリコプターで何時でも人員輸送が可能な範囲で行動している」と慎重な姿勢を説明した
///////////////////////////////////////////////////////////////

RIMPAC 20202.jpg各国、コロナ対策の緩和・解除は本当に難しい話です。具体的な経済統計が出始める中で、統制の利きにくい現代社会においてどのように進めていくのか・・・お互いの様子を参考にしながら・・でしょうが、判断をする立場の皆さんのご心労は察して余りあるものがあります

揚げ足をとるだけの批判をたれながす、マスゴミや芸人やにわか評論家には、なり下がりたくないと切に思う今日この頃です

RIMPAC関連
「2018年バンドウイルカが参加」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-08-02
「2018年日米陸軍が参加」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-21
「2018年中国の参加拒否」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-01
「RIMPACに中国招待せず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-24

英空母エリザベスの悲しき現実
「英空母エリザベスは米軍F-35B部隊と一体運用へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-26-1
「英海軍と英空軍共有のF-35Bが初任務」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-27
「米海兵隊F-35が英空母へ展開へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-09
「米軍F-35Bを英空母に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
「英空母が航空機不足で米軍にお願い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03
「米空軍士官学校卒業式2020」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-20
米国防省や米軍のコロナ対処・措置
(随時、更新・追記してます)
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-19

世界の安保・軍事情報を伝えたい ブログ「東京の郊外より」支援の会
米国を中心とした世界の軍事メディアが報じている、世界の標準的な安全保障情報や軍事情報をご紹介するブログ「東京の郊外より・・・」を支援するファンクラブです。ご支援お願いいたします。
ブログサポーターご紹介ページ: 東京の郊外より・・・
お支援下さっている皆様、ありがとうございます! そのお気持ちで元気100倍です!!! ●赤ちょうちんサポーターの皆様(3000円/月) ●ランチサポーターの皆様(1000円/月)  mecha_mecha様  ●カフェサポーターの皆様(50...
タイトルとURLをコピーしました