F-35のB型とC型は超音速飛行制限を許容

カテゴリー1不具合を妥協して許容
不具合解消の費用対効果を考え
外国購入国にはこれから相談???

F-35B2.jpg24日、米国防省F-35計画室が、昨年明らかになったF-35のB型とC型のcategory 1問題:「高高度:extremely high altitudes」で超音速飛行を継続すると機体尾部の構造とステルス塗装に影響を及ぼすリスクが高く、尾部に装着された各種アンテナにも被害が出るとの指摘に対し、「何も対策をせず、運用制限でリスクを回避する」方法で「米軍内の合意」を得たと明らかにしました。

最大級の問題とは、KC-46A空中給油機で続発している「category 1」不具合のことで、「高高度:extremely high altitudes」の程度が不明ですが、1分以上超音速飛行をしないとの制約をB型とC型使用者は甘受する結論に至ったということです

「category 1」不具合にもかかわらず「何も対策をとらない」のは、莫大な費用と膨大な確認試験を注ぎ込んでまで解決しなくても、F-35のB型とC型の運用には大きな支障がないとの判断をしたということらしいですが、数か月前にご紹介した「強度の弱いボルトが、どこに、どれだけ誤使用されているか不明だが、安全上問題なさそうなので放置する」との決定とよく似たいい加減さ満載の結果

F-35の運用法からすれば、超音速飛行は「不可欠ではなく、できればよい」程度のものだとの解釈らしいですが、敵ミサイルや戦闘機に追い詰められて必死で回避するのはレアなケースで、アフターバーナーを使用した連続超音速飛行ができなくても「OK」・・・ということです。B型は日本も購入する機体ですので、ご紹介しておきます

24日付Defense-News記事によれ
F-35B.jpg24日付の国防省F-35計画室の声明文書は、「このcategory 1案件に関しては、対策をとらないことで米軍内の合意が取れた」、「不具合対処のno plan to correctとの項目に該当する」と述べており、対策の費用対効果から何もしないと判断された模様である
不具合事項は、超音速飛行を継続することで、尾部の機体構造材やステルス塗装が被害を受けるだけでなく、尾部に取り付けられた無数のアンテナにも被害が及ぶ可能性があるというもので、これに対して超音速飛行の時間に制約を設けることで対処するという決断である

この問題が発覚時、F-35計画室はF-35要求事項の主要な項目である超音速飛行に関する不具合であるため「category 1」に分類したが、F-35にはそれほど超音速飛行が必要ないことや、この不具合を機体改修する場合、機体重量バランスやステルス塗装等々の要求事項を満たすため、長期にわたる設計開発と飛行試験が必要となることから、高速飛行に運用制限を課すことで対処することにした
元米海軍操縦者でハドソン研究所のBryan Clark研究員は、F-22戦闘機は超音速飛行が機体の戦術上重要な役割を占めているが、F-35の場合、緊急時に必要であれば使用する程度の重要性だと述べ、F-35操縦者と話しても、限定的な時と場合にしか使用しないというだろうあればよいが高速の敵から逃げるような場面はF-35の戦術からしてまれなケースだと話すだろう、と説明した

F-35C2.jpgまた同研究員は、超音速飛行すると、その巨大な排気熱や機体表面の温度上昇でステルス性が犠牲になり、また単発エンジン機の特長である燃費の良さが大きく損なわれて作戦上の制約になるだけだ、とコメントしている
一方で懸念の声もある。同研究員も昨年この問題が表面化した際は、超音速飛行時間に制約が課せられることで、空対空戦闘で不利になることを気にしていたし、ベトナム戦時にミサイル戦を重視しすぎて機関砲を搭載しなかったことで、非撃墜数が増大した戦訓に言及して懸念を示し、

「戦い方全般の変化を受けたF-35の役割変化やミサイルの発達を受け、可能性が少なくなったとはいえ、超音速飛行が可能なことはF-35の重要な特長であり、敵ミサイルからの回避行動や空中戦時に、大きな制約となる」と述べていた

一応解決した他の「category 1」
F-35 HMD.jpg操縦者のヘルメットに装着するHMDに内蔵のLED緑ランプがまぶしく、特に夜間着陸の際に誘導信号ライトを見にくくする等の不具合が指摘されていたが、LEDライトを交換することで問題が緩和され、回収されたHMDが部隊に提供され始めている
A型とB型のタイヤが破裂して油圧系統に被害を与える可能性があるとの指摘に関しては、タイヤを交換して以降、同様の問題は確認されず、新しいタイヤがすべての要求事項を満たしていることから、「no plan to correct」措置になった
気温が低い環境で、前方車輪格納扉を開いた際に、バッテリーの温度を保つヒーターが十分に作動せず操縦席に警告を発する不具合が指摘されたが、関連ソフトを改修することで解決された
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F-35C.jpg超音速飛行の時間が制限される件ですが、「米軍内の同意が得られた:concurrence from the U.S. services」ということは、B型とC型を購入する外国からの合意はこれからなんでしょうか?

または、購入国が超音速飛行をたっぷりやりたければ、勝手にお金払って機体改修したら・・・ということなんでしょうか? B型を購入するのは、英国、日本、シンガポールぐらいでしょうから、英国には根回ししつつ、日本とシンガポールは強姦するつもりかもしれません

ボルト問題の際もそうでしたが、「それなら最初から、高価なボルトの使用や、超音速飛行をたっぷり可能などと要求するな」という話です。こんなところで腹を立てても、空しいだけですが・・・

その他、コッソリ処理が進む「category 1」不具合の様子
https://www.defensenews.com/smr/hidden-troubles-f35/2020/04/24/five-f-35-issues-have-been-downgraded-but-they-remain-unsolved/
→https://www.defensenews.com/smr/hidden-troubles-f35/2020/04/24/the-pentagon-has-cut-the-number-of-serious-f-35-technical-flaws-in-half/

最近のF-35記事
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ボルトの誤使用:調査もせず放置へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-29
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
「維持費削減:F-35計画室長語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-03
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