KC-46の最重大不具合について3月に手打ち!?

米空軍参謀総長がメディアに明かす
問題解決には3-4年必要と空軍幹部が嘆いていたが・・・
給油機不足で民間委託に進む案も検討中だったが

Goldfein.jpg20日付Defense-Newsが、18日に行ったGoldfein米空軍参謀総長への独占インタビューを基に、米空軍への納入が始まっているのに重大不具合で作戦投入に向けた準備が進まないKC-46空中給油機に関し、最大の問題であるRVS(Remote Vision System)の不具合改修について3月には合意する方向で米空軍とボーイングと協議中だと報じました

KC-46開発のグダグダについては末尾の過去記事をご確認いただくとして、RVS(Remote Vision System)は給油装置捜査員がカメラ映像を見ながら給油を行う装置で、太陽の位置によって、また夜間等に給油相手機の位置等が正確に見えにくくなり、給油任務に支障があるとの不具合が指摘されていいます

KC-46 RVS.jpgRVSの不具合は2018年末には指摘されていたものですが、ボーイング側と空軍間で「改善内容の定義」を巡って折り合いがつかず、ボーイングの不誠実な姿勢に2019年9月にはKC-46運用部隊司令官の女性大将が「不具合解消に何の進展もない。同機運用開始には3-4年必要」と不満を爆発させ、両者の関係は最悪な状態になりました

KC-46の開発遅延と老朽の給油機(KC-135とKC-10)の稼働率低下と維持費高騰により、作戦運用に支障をきたす事態に直面した米空軍は、今年1月9日、Goldfein米空軍参謀総長自らがボーイングの新たなCEO宛にレターを送り、「ボーイングの対応に満足していない」、「いつまで不具合を抱えたままの機体を納入するのか」、「KC-46にもっと焦点を当て取り組んでほしい」と訴え、その書簡がメディアで大きく報じられるまでに至りました

3月に予期されるRVS不具合改善の方向合意により、「作戦投入まで3-4年は必要」と女性司令官が嘆いた事態が、どれほど改善されるのかは不明ですが、旅客機B-737 MAXの墜落事故で世間の非難を浴びるボーイング社にも、少しは変化の兆しが見えそうですのでご紹介しておきます

20日付DEfense-News記事によれば
KC-463.jpg●Goldfein米空軍参謀総長は、1月9日に交代したばかりのボーイング新CEOのDave Calhoun氏へ事態改善を要求するレターを送り、直後の1月15日にボーイングCEOがペンタゴンに参謀総長を訪れ、良い会談が出来たと当時の状況を振り返った
●同会談で、新CEOは「KC-46問題を最優先事項として取り組む。優秀な技術者や必要な資源を投入し、正常な状態に戻す」と参謀総長に約束し、参謀総長は「精力的な協議が続いている中なので細部には言及できないが、ボーイング側に姿勢の変化がみられる」、「ボーイング社指導層のKC-46不具合に対する熱意レベルが上がった」と最近の様子を評価した

●参謀総長は協議の状況について、「今言えるのは、ボーイング側が停滞しているわけではないという点である。我々は活発な議論を行っており、不具合改善方策を真剣に議論しており、3月末までには改善方針を固め、夏前には飛行試験で改善を確認開始したいと考えていると語った
●米空軍は2021年度予算案で、13機のKC-135と16機のKC-10を早期退役させ、同機の運用経費や維持整備費を浮かせて、将来装備への投資等に再配分する計画を示しているが、KC-46の現状から米議会はこの予算案の実効性について懐疑的である。米空軍は予算を通すためにもKC-46の問題解消を早期に必要としている

KC-46 RVS2.jpg●Defense-Newからの質問に対しボーイング社は、米空軍との協力関係を重視し、米空軍が求めるKC-46を提供することにコミットすると回答し、「米空軍とRVS改修について生産的な議論を行っており、この議論から機体能力を強化する計画を確立できると考えている」と述べている
●ボーイングにとっても、既に自腹で3300億円以上の追加経費をKC-46開発に投入しているところ、早期に不具合を解消し、米空軍が支払いを保留している機体価格の一部を受け取り、179機の生産に集中したいところであろう。ちなみに現時点で31機の不具合機体が納入済みである
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状況を把握しているGoldfein米空軍参謀総長は、「夏までは改修したRVSで飛行試験を開始したい」との意向を示していますが、昨年9月段階でKC-46運用部隊司令官が、「作戦投入させるまでに成熟するには3-4年必要」と評価していた状況に、どれだけ変化があるのか気になるところです

まさかとは思いますが、RVSの性能改善レベルで米空軍側が妥協し、KC-46を安易に運用可能としないことを祈念いたします

他の重大不具合(ブームの固着など)の扱いについても気になります・・・
でも、連接性向上重視、将来への投資重視の2021年度予算ですから、旧式給油機の早期退役を推進するため、大局的判断もあり得るかも・・・・です

KC-46関連の記事
「空軍トップが新CEOに改善要求」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
「ついに空中給油の民間委託検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-15
「貨物ロックに新たな重大不具合」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-12
「海外売り込みに必死なボーイング」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-22-1
「米空軍2度目の受領拒否」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-1
「機体受領再開も不信感・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-1
「米空軍がKC-46受け入れ中断」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-3
「不具合付きの初号機受領」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-2
「初号機納入が更に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20
「10月納入直前に不具合2つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19
「10月に初号機納入を発表」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-22
「開発が更に遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11-1

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