実態は英海軍のF-35B調達遅れを穴埋め
35機搭載可能なのに最大24機しかない悲しい現実
7日付Military.comは、米海兵隊幹部による発言として、2020年末に運用態勢を確立予定の英空母クイーン・エリザベスに、米海兵隊のF-35Bが2021年に同空母に展開して行動すると報じています。
同空母は2017年春に進水し、2018年夏から秋にF-35B搭載試験を米東海岸沖で3機の英軍F-35Bで開始し、2020年12月~2021年春には初期運用態勢を宣言予定で、その後2021年には初の作戦展開を予期しているよううで、その任務実施時又は事前訓練時から米海兵隊F-35Bが艦載されるようです
記事は米軍と英軍の新たな協力強化のシンボルとして米軍F-35Bの艦載計画を「美談」として取り上げていますが、実はこの背景には英軍の厳しい予算状況があり、空母エリザベスに搭載を予期していた35機のF-35B調達の見通しが立たず、米軍F-35Bに助けてもらわなければ、空母の最大能力発揮(訓練も含め)ができないっていない悲しい現実があります
2015年制定の英国防省「Strategic Defence and Security Review」では、2023年までに24機を調達を目論んでいるが、2020年12月の初期運用態勢確立時点で何機調達済みで、何機使用可能かも未定で、2016年の米英国防相会談で米軍F-35B派遣の協議が開始されていました
ついでに、英軍が長期計画で明らかにしている138機(全タイプ合計で)のF-35調達を、多くの英軍関係者が実現不能だと考えている状態であることも付記させていただきます。
更にEU離脱騒ぎで、英国経済の減速感は増し、英国防費の見通しに明るい材料はありません
そんなことを念頭に置きながら、米英の相互運用性向上という明るい部分にのみ日を当てた、米海兵隊中将の発言をご紹介させていただきます
7日付Military.com記事によれば
●米海兵隊の航空部隊トップのSteven Rudder中将はワシントン郊外で開催されたイベントで講演し、英海軍の新型空母が作戦任務に就く2021年に、米海兵隊のF-35Bが同空母に展開すると明らかにした
●このF-35派遣は長く協議されてきたもので、米英間の新たな協力関係のモデルになると同中将は説明した
●同中将はまた「これは素晴らしい新たな道で、海洋作戦パートナー間の共同作戦実施における新たな基準になる潜在性を秘めている」と表現し、同空母には「英海軍F-35Bとヘリ、英海兵隊、米海兵隊のF-35Bなどが搭載されることになろう」と語った
●米海兵隊報道官は、この米海兵隊F-35B展開は、米英の相互運用性進展上、極めて大きなマイルストーンとなると述べ、同空母が2020年秋と2021年春に、作戦任務に就く前の事前訓練を英国周辺で行うと明らかにし、この訓練が重要なものになると言及した
●米海兵隊F-35Bは昨年秋、米海兵隊のF-35Bテストパイロットを既に同空母に数週間派遣して確認を行っており、米側内部では既にどの飛行隊から派遣されるかも選定されているようだが、派遣機数も含め Rudder中将は言及を避けた
●英国以外にもF-35Bを艦艇に搭載しようとの動きがある。イタリア海軍は保有空母の1隻に同機を搭載する予定で、日本も駆逐艦に搭載を計画している
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2021年に米海兵隊機が空母エリザベスに展開したとき、米海軍のF-35Bが何機そろっているか気になります。
まぁ・・・英国海軍の悲しい内情は置いておくとして、もしかしたら、海上自衛隊の「いずも」から、米海軍海兵隊のF-35Bが運用される話がすでに出ているのかもしれません。
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「英空母が航空機不足で米軍にお願い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03