電子戦母機からの投下システムやキャニスターに課題も
19日付.C4isrnet.comが、VX Aerospace社と米海軍が共同で進めている艦載機から射出投下して使用する小型無人EW機開発について紹介し、今年秋に艦載電子戦機EA-18Gとの連携試験を実施する予定だと報じ、小型無人EW候補機の写真も掲載しました
Northrop Grummanと米海軍が進める「Remedy」との有人機と無人機の連携構想の一部分で、本日取り上げる部分は「small Class II UAV」で「Dash X」との小型無人EW機候補です
見た目はラジコンプロペラ機で、これにセンサー等を搭載するのでしょうが、母機に搭載する際は直径約40cmのキャニスターに折りたたんで搭載する模様です。
記事によれば、まずは電子戦の中のESM(electronic support measures)から始め、いずれは電子攻撃(electronic attack)も担わせたいとの構想があるようです
19日付.C4isrnet.com記事によれば
●開発中の「Dash X」は、将来EA-18Gのような電子戦母機から無人機の群れを射出し、母機に先んじて敵の各種レーダーや電波発射源を探知し、更に潜在的には敵センサー等に対する電子攻撃にも参加させることを狙っている
●小型無人機にはデータリンク装置を搭載し、母機である有人機や他の作戦機、更には地上や海上の指揮所と情報を共有する
●小型無人機は小さく低速度であるため敵に探知されにくく、敵システムや敵兵に接近しやすいので効果的な電子妨害が可能であり、敵ネットワークへの侵入可能性もある
●またNorthrop Grumman社の担当部長は、「相手に接近することで、より詳細の相手データが入手でき、これによりより効果的な対応が可能になる」と小型無人機の利点を説明した
●2017年から開発に取り組み、既に「Dash X」は操作員による操縦で電子目標の探知と位置特定試験を行っており、今年秋には同無人機とEA-18Gをリンクで結ぶ初の試験も予定されている
●ただし、無人機を収納して機体から射出するキャニスターの性能や、射出時の気温や機動・振動に耐えうる機体であることを確認する必要があるため、当面は「Dash X」を地上から離発着させる
●開発チームは、FA-18とEA-18Gへの同無人機の搭載を考えているが、まずはFA-18に搭載して攻撃パターンやEA-18Gとの連携行動をシミュレーションして、敵レーダ妨害やHARM攻撃をイメージしたい
●HARMは既にESM機材としての役割も果たしているが、それの無人で低速の小型航空機版と考えても良い
●将来的には「Dash X」を、P-8やヘリコプターからも射出可能にし、対潜水艦戦や水上艦艇防護用のデコイとしても利用可能性があり、また「群れ」での運用による敵C2の攪乱にも活用可能である
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写真の見た目は「安物」のイメージですが、必要なセンサーが搭載されていれば問題ないのかもしれません。これは2番目の試作品で、3番目も計画されているようです
小型のヘリでは、既に母機からの「群れ」散布事件が行われているのですが、それなりの装置を搭載するとなると、強度や散布方法に工夫が必要なのでしょう。
少し具体的な任務を付与するとなると、無人機の大型化が進み、敵脅威に接近してからの空中散布のハードルが高くなるということでしょう
VX Aerospace社の「Dash X」紹介
→ http://vxaerospace.com/dash-x/
無人機の「群れ」関連
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26
「無人機の群れに空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1
「無人艇の群れで港湾防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-19
「無人機の群れ:艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10