スイスが戦闘機&SAM選定で国民投票へ!?

地方自治では直接民主主義があると聞いていましたが・・・
Swiss air3.jpg9月28日付Defense-Newsは、スイス政府が2020年を目途に、次期戦闘機と防空ミサイルシステムの選定に関しスイス独特の国民投票にかける方向にあると紹介しつつ、過去に国民投票で戦闘機機種選定が否決された過去がある事から、様々な手法が検討されていると報じています
スイスの政治制度がどのようになっているのか承知していませんが、国民投票に掛ける場合、「Air 2030」と呼ばれるスイス国防省作成の航空戦力に関する将来コンセプトと投資総額のみが国民投票の対象となり、具体的な機種の是非を問うつもりはないようです
つまりスイス政府は、大枠コンセプトと予算に関する国民の信任を得た場合、具体的な次期戦闘機と防空ミサイルシステムの選定については「白紙委任」を得られたものと判断して機種を選択するようです。
Swiss air4.jpg国民投票を行うスイスの政治風土は独立心の強いスイス独特のものですが、2014年には22機のSaab Gripen戦闘機購入を国民投票にかけて「否決」された苦い経験がありスイス政府は国民投票の是非も含めて今後広く意見を聞きながら意思決定の手法を選択するようです
9月28日付Defense-News記事によれば
●スイスは、約9000億円でFA-18とF-5戦闘機の後継機と地対空ミサイルシステムの導入を計画しており、「Air 2030」計画として承認を得たいと考えている。なお戦闘機後継が約6600億円規模と言われている
FA-18とF-5戦闘機の後継機候補には、F-35、Dassault Rafale、Saab Gripen E、F/A-18 Super Hornetが挙げられており、30~40機導入を前提とした提案要求を7月に発出してる
Swiss air.jpg地対空ミサイルシステムの候補としては、 米国製Patriot, 仏製Eurosam’s SAMP/T、そしてイスラエル製のDavid’s Slingが上がっており、9月24日に提案要求が各社に発出されている
●現時点では、「Air 2030」計画は主要な政党からの支持を得られそうな雰囲気だが、9月22日まで受け付けていたパブリックコメントには、締め切りが近づくにつれて批判的な意見が増加したことは気がかりである
●また議会内の批判派は、国民投票は批判的な意見が増える傾向にあり、「Air 2030」計画が否決される可能性が高く、そうなればスイス国防政策全体にとって大きな危機となると政府のやり方に批判的である
●更に政党によっては、国民投票を行わず、戦闘機と防空システムを分離して通常の政策と同様に議論して決定すべきとする意見もある
●スイス国防省報道官は、コンセプト案である「Air 2030」計画を国民投票にかけるのが目標であるが、国民投票で否決されるリスクが高くなれば方向を修正する可能性も否定せず、「ベストな解決法を追及するだろう」と話している
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Swiss air2.jpgどういう案件が国民投票を必要とする決まりになっているのか不明ですが、国民投票で予算を確保しておき、評判の良くないF-35を導入しようとの魂胆ではないでしょうか???
米国のF-35売り込み圧力をかわすなら、米国に恐らく批判的なスイス世論を利用し、他機種を候補に国民投票に掛ける作戦が考えられますが、あえて政府内のフリーハンドを確保するため、リスクのある国民投票を狙っているような気がしてなりません
全くの邪推ですが・・・
欧州の戦闘機検討など
「独戦闘機選定に米圧力?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
「トルコが抜けたら大変」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24
「伊とイスラエルは」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26
「世界各国で暗雲」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26
「独潜水艦が全艦停止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-22
「美人大臣の増強計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-12
「独と蘭が連合部隊創設へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-05

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