GAOがF-35計画に再び警告

いくら警告しても、問題発生を阻止する意思なし・・・!?
5日付で米会計検査院GAOがレポートを発表し、F-35に対し再び警鐘を鳴らしています。
F-35 luke AFB.jpg何度も何度もGAOからの警告レポートが繰り返され、その度に国防省のF-35計画室からは、既にその問題は認識して対応しているとの反応が示されますが、時間が経過するとその問題がGAOの警告そのままに顕在化して計画の遅延や経費増大、更には現場での稼働率低下となって表面化する事が繰り返されています
今回の指摘は大きく2つ一つは「フル生産体制:full-rate production」に入る前に、技術的な諸問題を解決しないと、完成後に機体改修が必要になり経費増大につながるから、フル生産を待て、との指摘。
もう一つは、ソフト「3F」に続くバージョンアップ「Block 4」に関し、全体計画を明らかにしない(固めない)中で、五月雨式に部分部分の予算要求を始めるのは不適切だ、との指摘です。
全くもって、ごもっともな指摘だと思うのですが、国防省のF-35計画室は、素人には意味不明な、一般社会ではとても通用しない理論で反論を試みています
5日付Defense-News記事によれば
F-35-night-burner.jpg●「フル生産体制:full-rate production」に入る前に、技術的な諸問題を解決する必要性については、国防省F-35計画室も理解しているが、問題の解決「resolve」の定義や理解が双方でずれている
●GAOは現場での対応が完了した時点で、つまりそれ以上に欠陥品を製造しない体制が確立した時点を解決と考えているが、国防省F-35計画室は問題の解決法が明らかになった時点で解決と考えている
●国防省のこの慣行にGAOは問題ありと指摘し、欠陥がある製品を製造し続け、後に手戻り改修に追加経費が必要になる状態で問題の解決とする点が問題だと指摘している
●これに対し国防省側は、当面の解決策を押さえておき、後により良い効率的な解決策が見つかったら採用する余地を残すためだと対応している。
●「Block 4」能力向上計画については、GAOは米議会に対し、国防省側が同計画の全体像やコストについて明らかにしない限り、関連予算を五月雨式に認めるべきではないと訴えている
●国防省は2019年度予算案に、「Block 4」関連予算を約300億円既に要求しているが、2019年3月まで全体計画は明らかにならないと述べている。柔軟性のあるソフト開発と近代化を進めたいとの考え方に基づくものである
F-35transonic.jpg●ソフト開発の特質を踏まえ、一般企業のソフト開発ノウハウを生かそうとの新たな考え方であるが、全体像が見えないままに予算を認め始めると、どれだけ膨らむかわからない事業に税金を投入することになるのだ
●GAOもソフト開発の特性と現状の課題を踏まえ、「従来のソフト開発手法と比較し、入手時間を短縮する可能性がある」と一定程度の理解を示しているが、どの程度の確実性を担保して計画を走り始めているのかしっかりモニターする必要があると強調している
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相変わらずのF-35模様ですが、これだけの巨大プロジェクトでありながら、国防省得意の「どんぶり勘定」感覚で突っ走ろうとしている当たりの感覚がアンビリーバブルです。
でもこれは対岸の火事ではなくて、「どんぶり勘定」と「どんぶり計画」で製造され、価格が跳ね上がった航空機や部品を、日本は購入することになるのです・・・
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