米空軍がコッソリF-15C電子戦能力向上を中止

F-15Cの電子戦能力向上を身内に内緒で中止
制空用F-15早期退役への布石か・・・
F-15C.jpg5月21日公表の米空軍監察官室レポートは、制空用F-15Cに必要な能力維持のために不可欠と同観察室が兼ねてから指摘してきた電子戦能力向上改修が、同監察官室には何の情報や相談もなく、2018年度予算から削除されていると不満一杯で訴えているようです
この電子戦能力向上は、EPAWSS(Eagle Passive/Active Warning and Survivability System)と呼ばれるもので、計画段階では196機のF-15C(制空用)と217機のF-15E(戦闘攻撃用)に開発された改修パッケージですが、F-15E用はそのままで、F-15C用予算だけがカットされようです
米空軍は、F-35やB-21の導入経費確保のため、また整備員等の確保のため、現存アセットの整理を検討していますが、A-10攻撃機全廃が議会の反対で遅れ、F-15Cの早期引退を画策しています。
F-15C2.jpgF-16の方が汎用性が高くて維持費等を総合的に考えると有効だとの主張ですが、A-10破棄計画の失敗から、空軍幹部は慎重に事を進めようとしているようです
そんな中での「コッソリ電子戦能力向上中止」ですから、身内の監察官室も軍事メディアも注目しているわけです。
米空軍側は、2018年度予算から外しただけで、最終的な決断はしていない・・・と逃げの言い訳をしているようですが・・・
5月29日付C4isrnet.com記事より
●米空軍監察官室(IG:inspector general)のレポートは、F-15Cが運用されるであろう期間における有効性を維持するために、EPAWSSの重要性を主張してきたにもかかわらず、同監察室に何ら情報や調整なく同予算が削除されたことに懸念を示している
●そしてこの能力向上削減により、EPAWSS製造数が47%されることになると指摘し、結果として米空軍指導層は、2017年3月に議会に対し可能性を示唆した、F-15C早期引退を目指していることを改めて示した可能性がある
F-15C3.jpg●IGレポートは更に、通常このように大きな能力向上施策削減の場合は、統合要求審議会と共に全体戦力への影響を検討し、必要なら戦力練り直しを行うが、今回の削減に際し米空軍はこのような再検討を行ていないと批判している
●EPAWSSはボーイングが主契約会社で、BAE Systemsも設計開発に関わっている事業であるが、IG室は「EPAWSS無しのF-15Cは、空中や地上からの脅威把握能力が限定され、敵への対抗措置や妨害能力が劣ることになる」と警告している
2019年8月からEPAWSSはF-15への搭載が開始されるが、米空軍はその時点までに、F-15Cへの搭載計画を含むオリジナル計画の見直しについて最終的な結論を出す模様だとIGレポートは記載している
●また今回の監察官室レポートを受け、米空軍はF-15C型の引退計画について、議会に報告することに合意した模様である
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航空自衛隊も200機以上の制空用F-15を保有しているので、その維持にも影響すると考えフォローしています。
米空軍にもかわいそうな面はあります議員の中には地元配備の飛行機が減ると、兵士数が減ってお金が落ちなくなるとか、税金が減るとか、雇用が減るとか・・・の理由で反対する輩が居たりするからです
F-15C-Arctic.jpg例えば、装備品の数が減り、兵士数も減っているので基地の整理統合(BRAC)を国防省は行いたいが、地元利益誘導の議員の反対で非効率な基地運営を余儀なくされているとか・・・
加えて、予算の強制削減で、必要な予算が確保できないとか・・・。でも、べらぼうに高価なF-35を導入しようとすれば、現場につけが回てくることは、わかっていたことですので・・・
F-15C関連の記事
「F-15Cの早期退役やむなし?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23
米空軍の次世代制空機検討PCA
「秋に戦闘機ロードマップを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

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