米空軍がJDAMや精密誘導兵器増産へ

JDAM.jpg17日、米空軍省調達室の軍事副室長Arnold Bunch中将が米空軍協会朝食会で講演し、精密誘導兵器である小口径爆弾SDBに続き、JDAMの増産に向け関係企業と鋭意調整中であると明らかにしました。
2015年12月に精密誘導兵器を主とする弾薬備蓄の急激な減少が問題視されていることが明らかになりましたが、これまでにもご紹介してきたように、米軍は対ISISで大量消費していても、決して「適正在庫を下回った」とか「有事に対応できない」とは言いません
しかし、「もう外国には弾薬を融通しない」とか「予算の最優先事項だ」とかの発言が相次いでおり、個人的には、とても北朝鮮有事に対処できないレベルで、大きな一つの「ボトルネック」だと勝手に想像しています
JDAM2.jpg国防装備品の多くがそうであるように、特に精密誘導兵器は市販品を活用できる部分は恐らくなく、軍のためだけに製造していますから、契約製造数に対応できる最低限の人員と製造ラインがあるのみで、急に増産と言われてもなかなか対応は容易ではないでしょう
そんな中での Bunch中将の発言には、企業への配慮がにじんでいます
17日付DODBuzz記事によれば
●米空軍協会の昼食会で同中将は、対ISIS作戦で消耗した精密誘導兵器のGBU-39 SDB(Small Diameter Bomb)と同様に、JDAMの増産を追及していることを認めた
●具体的には、現在年間36500キットを製造購入しているところ、これを年間45000キットまで引き上げることを検討しているとのブルームバーグ報道を認めた
●同中将は「弾薬は国防省内で大きな焦点となっている課題で、特に世界中の戦いで引っ張りだこの精密誘導兵器が話題である」と述べ、「我々は必死に取り組んでおり、単に尾部キットだけでなく、電源関連などJDAMの全ての部品や視点から確認している」と説明した
●そして「もし皆さんの中に関連企業の方がおられたら、既にお願いしているが、生産能力に限界があるのか、質の維持に課題が生じるのか等、現場の生の声を聞かせてほしい」と切迫した様子で訴えた
SDB3.jpg●朝食会の後に同中将は、SDBについては現在、数年かけて年間5000発生産体制から8000発体制に生産体制増強中であり、8000という数字は当初SDBの生産を開始した時と比較すると3倍だと語っている
●今後実現したいJDAM増産に関しては、「急に増産をお願いし、そのあと元に戻すような、山谷がある乱暴な発注ではなく、例え需要が大きくても、安定した調達を追求したい」と語った
●また同中将は、全ての部品メーカーや関係企業が対応可能と確認ができるまで、例えば年間55000キットを到達するなどと言い出したりしないと強調し、同時に、他軍腫で精密誘導兵器の要求が高まった場合には、相談しながら柔軟に対応するとも語った
●そして現在でも、ヘルファイアミサイルに関し米陸軍と、またAPKWSレーザー誘導爆弾については米海軍と、相談しながらやっていると説明した
●講演の最後に繰り返しBunch中将は、「もし何か問題に直面したらすぐ教えてほしい。そうすることで、問題にともに取り組んでいきたい」と強調した
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同中将の発言にある「弾薬は国防省内で大きな焦点となっている課題」「我々は必死に取り組んでおり」や、「もし何か問題に直面したらすぐ教えてほしい」との表現が気になります。
JDAM-Empty.jpg「無理に年間55000発にはしない」との言葉の裏には、慌てふためいている印象は与えたくないが、皆さんに可能な努力をお願いしてそのレベルに行きたい・・・との思いが滲んでいるように思えてなりません
精密誘導兵器が対北朝鮮の有力「ボトルネック説」にこだわり過ぎではありますが、一つの指標として、眺めていきたいと思います
でもしかし、対ISが一段落しそうな中でこの発言。まだまだ対北朝鮮のドンパチを語るタイミングには無いような気もします
米空軍と弾薬関連
「空軍長官代理の発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-05
「精密誘導爆弾の不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-03
「米国の弾薬を当てにするな!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21-1
気になる関連記事
「米陸軍が対北朝鮮に緊急準備開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-12
後日公開
「グアムに弾薬10%増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-21

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