任期末期で、かなり自由に御発言です
10月24日、CNASで開催されたイベントで米陸軍、米海軍、米空軍の各長官が揃ってパネル討議を行い、様々な勤務を通じての思いや気候変動の影響、大統領選後の備え、小型無人機対処、更にはシリア飛行禁止空域について語りました。
3軍の文民トップが一堂に会して語り合う場面はこれまで聞いたことがありませんが、それぞれの軍種の内部には口を挟まず大人の対応ですが、興味深い話も含まれており、またISIL等のイスラム過激派組織が使用する小型無人機への対処が急務との認識で一致している模様です
陸軍長官や海軍長官の興味深い話
●陸軍長官は、新しいプロジェクトを停滞させないため注意すべき2つの事項を述べた。一つは「もう少し調べて検討してから」との姿勢を取らないこと、二つ目は「国防省全体で取り組むべき」との方向に安易に流れないことである
●特に二つ目に関しては、全ての軍種への適応を考えたが故に、効率性を損なう結果になりかねないからであると説明し、各軍種がインキュベーターであるべきで、競争や実験重視の姿勢を持つべきだと語った
●海軍長官は気候変動の影響について、北極海の氷が溶けてロシアが派遣拡大を狙っても、米海軍は対処準備が出来ている。しかし温暖化に対策が取られなければ、海面上昇でNorfolk基地は20~30年後に水没するだろう
●11月8日に誰が大統領選ばれようとも、政権委譲チームが私たちのオフィスを訪れたなら、政権委譲に伴う間隙が生じないように準備は万端に出来ていると、3人の文民トップは口を揃えた
●James空軍長官は、特に予算の強制削減や暫定予算措置の停止を進めるよう申し送りを実施すると強調した
なぞの兵器で小型無人機撃退!?
●最近米空軍は、どのような手段を用いたのかには言及を避けているが、ISILが使用していた小型無人機を「電磁的手段:electronic measures」で撃墜した
●James空軍長官は、中東に展開している米空軍部隊が、近傍に1機の小型無人機が飛行しているとの情報を入手し、「かなり迅速に撃退に成功した」と表現した
●空軍長官と同じくイベントで登壇していたメイバス海軍長官とファニング陸軍長官も、小型無人機への対処が急激に優先度を高めていると危機感を示した
シリア「no-fly zone」設置は困難だが言われれば・・
この問題の背景
●シリアの一般国民保護の観点から、これまでも議会等から度々、シリア上空に飛行禁止ゾーンを設定してアサド政権等による一般市民への航空攻撃を阻止するよう要望が出されているが、オバマ大統領は「意味ある手段だが、現時点で米国の選択肢にはない」との立場
●一方でクリントン大統領候補は、3回目の候補者ディベートで、「人命保護と紛争の早期終結のため、飛行禁止ゾーン設定を支持する」との立場を表明した
James空軍長官は
●飛行禁止ゾーンの設定は困難で複雑だが、命ぜられればコアリションのメンバーとして実施する。現時点で飛行禁止ゾーン設定の計画はないが。
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米国防関係者の発言も、米軍事メディアの報道も、対ISILや対イスラム過激派関連が5割以上を占めています。
残り3割ぐらいが軍需産業の動きで、最後の2割で中東以外の地域が話題になり、その一部でアジア太平洋がときどき話題になっています
しっかり統計を取ったわけではありませんが、印象的には、アジア太平洋の話題はフィリピン大統領ぐらいで、南シナ海も少なくなりました。
最近のJames空軍長官関連
「ICBM後継経費で相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「FMS手続きの簡素化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-05
「F-35整備員確保の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-14