ベトナムへの米国武器フル解禁発表!

ビックリ仰天!
23日オバマ大統領が兵器輸出「全面解禁」を発表
→ただし、実際の武器売却に際しては、個別に是非を判断すると説明。実質的には、攻撃兵器の輸出にはまだまだ慎重か・・

両国首脳の記者会見トランスクリプト
https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2016/05/23/remarks-president-obama-and-president-quang-vietnam-joint-press

オバマ大統領関連発言
「And I can also announce that the United States is fully lifting the ban on the sale of military equipment to Vietnam that has been in place for some 50 years. As with all our defense partners, sales will need to still meet strict requirements, including those related to human rights. But this change will ensure that Vietnam has access to the equipment it needs to defend itself and removes a lingering vestige of the Cold War. It also underscores the commitment of the United States to a fully normalized relationship with Vietnam, including strong defense ties with Vietnam and this region for the long term.」

「・・・the decision to lift the ban was not based on China or any other considerations. It was based on our desire to complete what has been a lengthy process of moving towards normalization with Vietnam・・・」

「Now, every sale that we make to everybody is viewed as a particular transaction, and we examine what’s appropriate and what’s not, and there’s some very close allies of ours where we may not make a particular sale until we have a better sense of how that piece of equipment may end up being used. So we’re going to continue to engage in the case-by-case evaluations of these sales.」

「I want to emphasize that my decision to lift the ban really was more reflective of the changing nature of the relationship.
The last point, with respect specifically to human rights, as I indicated in my opening statement, this is an area where we still have differences. There’s been modest progress on some of the areas that we’ve identified as a concern.」
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Vietnam.jpg18日付Defense-News記事は、オバマ大統領がベトナム訪問を準備している最中ではあるが、ベトナム国内の人権問題を懸念する声が米政権や議会で根強く、またベトナム側の装備購入も慎重で、今回のオバマ訪問でも2014年の米国武器輸出一部緩和が全面緩和になる可能性は低いと分析しています

2014年11月のオバマ北京訪問開始日に公表された「ベトナムへの武器輸出緩和」は、ベトナム戦争後の両国関係を考えれば画期的でしたが、「海洋安全保障や状況認識強化への支援に関するモノを、case-by-caseを基本として許可」するもので、攻撃用装備は含まれないものでした

その後2015年6月のカーター国防長官ベトナム訪問の際は、「装備品取引を拡大し、現行法制の元で、新たな技術や装備の開発も検討範囲に含む」との合意文書が署名され、更なる関係強化を模索しています。

しかしながら、現実に実を結んだものはほとんど無く、中古警備艇20隻(2013年に合意済:しかも米国の資金援助付)ぐらいしかない現状です(多分)

18日付Defense-News記事によれば
Vietnam2.jpgベトナムへの米武器輸出完全緩和は、カーター国防長官やマケイン議員(上院軍事委員長)が強く要望し、オバマ政権も検討を始めていると見られているが、関連の報道に対し、上院外交委員長Bob Corker議員等は強い懸念を示している
●米国務省の軍政問題担当報道官も、「人権問題は対ベトナム政策決定の大きな要素である」と述べ、武器輸出については「case-by-case」だと触れるだけで、禁輸撤回の可能性については言及しなかった

●CSISのPhuong Nguyen研究員は、ベトナム側は人権問題に取り組むと発言しているが、米議会内には武器が一般市民に使用される懸念が根強く残っていると説明した
●そして、2014年に一部緩和を支持した議員の中にも完全緩和を支持しない議員もおり、完全緩和が実現するかは不透明だと述べている

●一方で同研究員は「ベトナム内での人権問題に軍は関係しておらず、更に米軍がベトナム軍にPKO参加訓練を行っている中で、武器禁輸を維持していることに矛盾がある」とも指摘している

Vietnam3.jpg●ベトナムは約9割の軍装備をロシアから調達していた経緯があり、2014年の一部緩和はロシアとの関係を抑え、中国の野心を牽制する役割を期待されていた
●しかし成果につながっていない。当地の米国大使館は米軍需産業とベトナム軍との会議の場を設けているが、ベトナム側は関心を示すものの動きは早くない

●Nguyen研究員は、制限があるためにベトナム関係者は関心度が低いし、米側はは関心が低ければ完全緩和する必要性も低いと考える者も居ると説明している
●また発展途上国にありがちな、米国から単に購入するのではなく、米国がベトナム軍需産業を育成し、共同で何かを行うことを要求する傾向もあり話が進まない面もある

●ただし、中国が南シナ海での領有権主張を強める中で、ベトナム側の兵器や装備品ニーズは高いはずだ。IISSのDoug Barrie上級研究員は、「海上監視や対潜水艦作戦分野でベトナム側のニーズは高いはずだ。中古P-3やP-8、Su-22やMig-21の後継機種、回転翼輸送機に可能性があるのではないか」と見ている

●一方でNguyen研究員は、大きな隣国(中国)を刺激しないようゆっくりと行動する方向だと考えられ、「米国戦闘機を早期に購入するとは考えられないし、中国に脅威と見られないように少しづつ動くだろう」と見ている
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南シナ海を取り囲む米国の友好国の動きは微妙です
フィリピンの新大統領は「トランプ的」で「中国との対話模索型」だと言われており、ベトナムもこんな感じです

先日、東シナ海での日米印海軍演習の計画が公表されましたが、インドだって極めて慎重です

Vietnam4.jpgオバマ大統領の任期切れが迫る中、ベトナム訪問が如何なる成果を生むか今後に注目ですが、アジアで「人権問題」なんかを持ち出していたら話は進みません

米国には、何を優先すべきか、よーーーーーーく考えて欲しいものです
最後の写真は、今年2月に海上自衛隊とベトナム海軍が共同捜索訓練を行った際の写真です。日本も頑張ってます

米とベトナム関係の記事
「2015年カーター長官訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-02
「武器輸出緩和発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13-2
「ベトナムへ武器輸出解禁か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-28
「50年ぶり米軍トップが訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-16
「中国と関係改善の兆し?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-28

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