15日、米下院が予算案の付帯決議に、日本への地上配備型イージスシステム売却を許可するよう国防省に要求する内容を盛り込む決定を行いました。
上院でも可決しないと有効にはならず、もちろん日本政府も未だ購入を決断したわけではありません(内々でどうなっているか知りません)が、民主&共和両党が同意して合意された下院の決定ですから、今後の動きが注目されます。
現状の地上配備イージスシステムは弾道ミサイル対応だけが可能で、艦艇用の最新イージスシステム(Baseline 9)のように、通常防空任務を同時に実施する能力はないようですが、ルーマニアやポーランド配備の地上型は2018年に能力向上されるようです
日本側の動きが良くわかりませんが、取り合えずご紹介します
18日付米海軍協会web記事によれば
●下院軍事委員会戦略戦力小委員会のMike Rogers委員長が提案した、米海軍に日本への地上配備イージスシステム売却許可を促す付帯修正決議は、軍事委員会の両派の指導者により同意された
●決議は「既にイージス艦を保有しする日本が、地上配備イージス購入を決断したら、日米交互運用性の向上とIAMD融合の更なる促進に偉大な機会を与えることになり、戦力増幅効果を生み、米軍への戦力構成要望を多方面で緩和できる可能性がある」と表現されている
●関係者によれば、米海軍はこの売却許可を1年にわたり検討しているが、官僚仕事の鈍重さを示すように、FMS検討は長時間を要している。
●艦艇搭載システムより能力が劣る地上配備型の売却許可が遅れているのは、自宅納入用の大型住宅ローンを許可しておきながら、少額の車購入用ローンを認めないようなものだと関係者は非難している
●しかし同時に決議は「国防省と国務省は共同し、FMSと地上配備イージスへの共同投資への問題点を明らかにせよ」、「戦闘コマンド司令官の要求と合致すれば、(検討を受け)大統領は同システムへの共同投資と開発に関するホスト国との合意形成に進むべきだ」とも記されている
●なお同決議は、現在進行中のルーマニアやポーランドへの地上配備型にも、通常防空システムを組み込むよう求めており、両国とも2018年に能力向上が完成する計画である
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同記事は「日本政府は地上配備型購入の最終決定をしていない」としており、それであればこの米国の動きは、日本のマスコミ目線では「フライング」なのかもしれません。
ペトリオットPAC-3より、遥かに要撃範囲が広いSM-3やイージス艦システムのほうが防衛能力上は良いでしょうが、それにしても初耳です。
米側から「co-financing」とか「co-development」とか言われると、反射的に腰が引けますが・・・。日本側の動きが良くわかりません
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