17日から23日にかけてアジア太平洋地域(ハワイ、グアム、韓国、日本)を訪問したBob Work国防副長官ですが、22日には防衛及び外務副大臣と会談し、23日には小野寺防衛相と朝食会い、最後に横須賀停泊中の米海軍艦艇を訪問してアジアツアーを終了した模様です。
本日は米国防省web記事が紹介する22日の副長官の会談等から、最近の日米国防協力の「アジェンダ」を確認したいと思います。新しい話題はありませんが、無視するわけにもいきませんので。
22日付米国防省web記事によれば
●22日午後の武田防衛副大臣との会談後、Work副長官は共同会見を行い、日米安保の近代化に向けた取り組み、つまりガイドライン見直し、在日米軍の再編、両国による戦力配備や能力向上の努力について語った
●また北朝鮮の挑発に対する日米韓の協力やBMDにおける協力について議論した。そして本年末までに展開するTPY-2(通称Xバンドレーダー)配備の進展について両者は讃えた
●副長官は「アジア太平洋リバランスは、特に日米同盟と協力関係は、オバマ大統領とヘーゲル国防長官にとって最高の優先事項である」と語った。
●また副長官はグアムや韓国訪問にも触れ「リバランスが大きく進展していることをこの目で確認できた」と表現し、「グアムでは日本の資金で勧められている海兵隊移転先の施設工事や、グアムを地域の戦略的ハブにする努力」を讃えた
●また副長官は、日本での集団的自衛権に関する決定を大いに歓迎すると述べ、これが実行されれば、ガイドライン見直しを実質的なものに出来、日本の役割拡大につながると評価した
●集団的自衛権に関する日本の取り組みについて副長官は、「10年後に人々は、今も日本による取り組みがアジア太平洋地域の平和と繁栄と安全を確保し、更なる発展につなげたと評価するだろう」と武田副大臣に述べた
●副長官は日本の新たな武器輸出政策や秘密保護法製整備を讃え、軍需産業分野での米国や豪州等との協力関係強化に資すると評価し「低コストとより高い能力により地域の安定に寄与する」と語った
●Xバンドレーダーの敷設進展を評価しつつ副長官は「米海軍は2017年までに、更に2隻のイージス艦を横須賀に配備する」と語り、更に「海兵隊初のF-35海外配備を日本とし、2017年に行う」と述べ、米国による能力強化策として説明した
●そして副長官は韓国との関係の重要性を最後に指摘し、「ここのもう一つ、我々が重視している同盟国がある。それは韓国との同盟である」、「日米間の3カ国でより多くの情報を共有できれば、より地域の平和と安定に寄与できる」と訴えた。
●副長官は「3カ国協議が様々な形で深まることを歓迎する。BMD分野での協力強化がよい協力分野だと考える。北朝鮮という共通の脅威があるからである」と強調した
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オバマ大統領の名前を出されても「しらけた」気分になりますが、ウクライナやイラクで米軍の活動が活発化する中、国防長官や副長官がインドや豪州や韓国や日本を精力的に訪問する姿には勇気付けられます。
デンプシー議長のベトナム訪問やASEAN会合への出席も・・・
CSBA研究員時代に中国のA2AD戦略を曇りない目で捉え、エアシーバトル研究を脇で支え、米軍の対中国作戦構想で積極的な改革提案を行っていたWork副長官ですが、海軍次官の経験も踏まえ、副長官として更なるご活躍を期待いたします
米国防省幹部のアジア詣で
「デンプシー議長はベトナムへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-16
「ヘーゲル長官のインド訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-12
Work副長官アジアツアー特設webページ
→http://www.defense.gov/home/features/2014/0814_work1/